入門者向け時代伝奇小説百選

 約十年前に公開した「入門向け時代伝奇小説五十選」を増補改訂し、倍の「百選」として公開いたします。間口が広いようでいて、どこから手をつけて良いのかなかなかわかりにくい時代伝奇小説について、サブジャンルを道標におすすめの百作品を紹介いたします。

 百作品選定の基準は、
(1)入門者の方でも楽しめる作品であること
(2)絶版となっていないこと、あるいは電子書籍で入手可能なこと
(3)「原則として」シリーズの巻数が十冊以内であること
(4)同じ作家の作品は最大3作まで
(5)何よりも読んで楽しい作品であること の5つであります

 百作品は以下のサブジャンルに分けていますが、これらはあくまでも目安であり、当然ながら複数のサブジャンルに該当する場合がほとんどです(また、「五十選」の際のサブジャンルから変更した作品もあります)。
 そのため、関連のあるサブジャンルについては、以下のリストからリンクしている個々の作品の紹介に追記いたします。

【古典】 10作品
1.『神州纐纈城』(国枝史郎)
2.『鳴門秘帖』(吉川英治)
3.『青蛙堂鬼談』(岡本綺堂)
4.『丹下左膳』(林不忘)
5.『砂絵呪縛』(土師清二)
6.『ごろつき船』(大佛次郎)
7.『美男狩』(野村胡堂)
8.『髑髏銭』(角田喜久雄)
9.『髑髏検校』(横溝正史)
10.『眠狂四郎無頼控』(柴田錬三郎)

【剣豪】 5作品
11.『柳生非情剣』(隆慶一郎)
12.『駿河城御前試合』(南條範夫)
13.『魔界転生』(山田風太郎)
14.『幽剣抄』(菊地秀行)
15.『織江緋之介見参 悲恋の太刀』(上田秀人)

【忍者】 10作品
16.『甲賀忍法帖』(山田風太郎)
17.『赤い影法師』(柴田錬三郎)
18.『風神の門』(司馬遼太郎)
19.『真田十勇士』(笹沢佐保)
20.『妻は、くノ一』シリーズ(風野真知雄)
21.『風魔』(宮本昌孝)
22.『忍びの森』(武内涼)
23.『塞の巫女 甲州忍び秘伝』(乾緑郎)
24.『悪忍 加藤段蔵無頼伝』(海道 龍一朗)
25.『嶽神』(長谷川卓)

【怪奇・妖怪】 10作品
26.『おそろし』(宮部みゆき)
27.『しゃばけ』(畠中恵)
28.『巷説百物語』(京極夏彦)
29.『一鬼夜行』(小松エメル)
30.『のっぺら』(霜島ケイ)
31.『素浪人半四郎百鬼夜行』シリーズ(芝村涼也)
32.『妖草師』シリーズ(武内涼)
33.『古道具屋皆塵堂』シリーズ(輪渡颯介)
34.『人魚ノ肉』(木下昌輝)
35.『柳うら屋奇々怪々譚』(篠原景)

【SF】 5作品
36.『寛永無明剣』(光瀬龍)
37.『産霊山秘録』(半村良)
38.『TERA小屋探偵団 未来S高校航時部レポート』(辻真先)
39.『大帝の剣』(夢枕獏)
40.『押川春浪回想譚』(横田順彌)

【ミステリ】 5作品
41.『千年の黙 異本源氏物語』(森谷明子)
42.『義元謀殺』(鈴木英治)
43.『柳生十兵衛秘剣考』(高井忍)
44.『ギヤマン壺の謎』『徳利長屋の怪』(はやみねかおる)
45.『股旅探偵 上州呪い村』(幡大介)

【古代-平安】 10作品
46.『諸葛孔明対卑弥呼』(町井登志夫)
47.『いまはむかし』(安澄加奈)
48.『玉藻の前』(岡本綺堂)
49.『夢源氏剣祭文』(小池一夫)
50.『陰陽師 生成り姫』(夢枕獏)
51.『安倍晴明あやかし鬼譚』(六道慧)
52.『かがやく月の宮』(宇月原晴明)
53.『ばけもの好む中将』シリーズ(瀬川貴次)
54.『風神秘抄』(荻原規子)
55.『花月秘拳行』(火坂雅志)

【鎌倉-室町】 5作品
56.『幻の神器 藤原定家謎合秘帖』(篠綾子)
57.『彷徨える帝』(安部龍太郎)
58.『南都あやかし帖 君よ知るや、ファールスの地』(仲町六絵)
59.『妖怪』(司馬遼太郎)
60.『ぬばたま一休』(朝松健)

【戦国】 10作品
61.『魔海風雲録』(都筑道夫)
62.『剣豪将軍義輝』(宮本昌孝)
63.『信長の棺』(加藤廣)
64.『黎明に叛くもの』(宇月原晴明)
65.『太閤暗殺』(岡田秀文)
66.『桃山ビート・トライブ』(天野純希)
67.『秀吉の暗号 太閤の復活祭』(中見利男)
68.『覇王の贄』(矢野隆)
69.『三人孫市』(谷津矢車)
70.『真田十勇士』シリーズ(松尾清貴)

【江戸】 10作品
71.『螢丸伝奇』(えとう乱星)
72.『吉原御免状』(隆慶一郎)
73.『かげろう絵図』(松本清張)
74.『竜門の衛 将軍家見聞役元八郎』(上田秀人)
75.『魔岩伝説』(荒山徹)
76.『退屈姫君伝』(米村圭伍)
77.『未来記の番人』(築山桂)
78.『燦』シリーズ(あさのあつこ)
79.『荒神』(宮部みゆき)
80.『鬼船の城塞』(鳴神響一)

【幕末-明治】 10作品
81.『でんでら国』(平谷美樹)
82.『ヤマユリワラシ 遠野供養絵異聞』(澤見彰)
83.『慶応水滸伝』(柳蒼二郎)
84.『完四郎広目手控』(高橋克彦)
85.『カムイの剣』(矢野徹)
86.『箱館売ります 土方歳三蝦夷血風録』(富樫倫太郎)
87.『旋風伝 レラ=シウ』(朝松健)
88.『警視庁草紙』(山田風太郎)
89.『西郷盗撮 剣豪写真師・志村悠之介』(風野真知雄)
90.『明治剣狼伝 西郷暗殺指令』(新美健)

【児童文学】 5作品
91.『天狗童子』(佐藤さとる)
92.『白狐魔記』シリーズ(斉藤洋)
93.『鬼の橋』(伊藤遊)
94.『忍剣花百姫伝』(越水利江子)
95.『送り人の娘』(廣嶋玲子)

【中国もの】 5作品
96.『僕僕先生』(仁木英之)
97.『双子幻綺行 洛陽城推理譚』(森福都)
98.『琅邪の鬼』(丸山天寿)
99.『もろこし銀侠伝』(秋梨惟喬)
100.『文学少年と書を喰う少女』(渡辺仙州)



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2019.06.17

手塚治虫『どろろ』 人間性を奪うものへの反逆の物語


 現在放送中のアニメ版もいよいよ終盤ということで、ここで原作の『どろろ』を振り返ってみるとしましょう。言うまでもなく手塚治虫の手になる本作は、昭和42年から43年にかけて「週刊少年サンデー」に、昭和44年に冒険王に連載された時代妖怪漫画であります。

 戦国の世、地獄堂に封じられた四十八体の魔物に対して、もうじき生まれる我が子を生け贄に天下取りの力を求めた醍醐景光。その願いが叶ったということか、、子供は生まれながらにして体の大半の部分を持たず、生まれてすぐに川に流されるのでした。
 偶然それを見つけた医師・寿海によって義手や義足、そして百鬼丸の名を与えられた少年。しかし彼は、その生まれ故か、次々と妖怪を惹きつけ、狙われることになります。

 ついに寿海のもとを離れることとなった百鬼丸。彼は、謎の声の導きで自分の体を奪った四十八の魔物の存在を知り、体を取り戻すために魔物退治の旅に出ます。その途中、自分の刀を狙う自称・天下の大泥棒の浮浪児・どろろにつきまとわれるようになった百鬼丸。百鬼丸とどろろは、二人で当て所なく戦乱の巷を彷徨うことに……


 と、今更言うまでもないあらすじを繰り返してみましたが、今回読み返して改めて感じるのは、やはり百鬼丸の設定の面白さ、巧みさであります。

 何かと引き替えに超自然的な存在に体の一部を奪われるというのは、これはある種普遍的なモチーフかもしれませんが、しかし――これは私の不勉強かもしれませんが――ほぼ全身の全ての箇所を奪われ、そして奪った者を倒すたびにそれを取り返していくというのは、やはり本作が嚆矢ではないでしょうか。
 そしてその特異すぎる設定が、百鬼丸というキャラクターの個性と特殊能力、そして動機付けを同時に成り立たせているのには、感心するほかありません。

 そして登場する魔物たちも、そのほとんどが民俗的バックボーンを持ったキャラクターとしての「妖怪」とは異なる、不気味な怪物揃いなのが目を引きます。
 そんな百鬼丸と魔物たちの、ある種の怪物同士の戦いは、戦乱が打ち続き荒廃しきった室町後期の世界のある種象徴じみたものであり――そこにさらに荒んだ人間たちのドラマが絡み合う様は、今読んでも全く遜色ない面白さであります。

 ……といっても、それはあくまでも伝奇ファン、怪奇ファンとしての目線であって、当時の少年漫画の読者にとってみれば、やはりこの内容は不気味であり殺伐としすぎていただろうなあ――というのも正直な印象(時折差し挟まれるナンセンスギャグが、普通に少年漫画しているのも強烈な違和感)。
 少年サンデー連載版の終盤、どろろの背中に記された財宝の在処を巡り、一つの島(岬)を舞台に野盗や武士、魔物までが入り乱れて大乱戦を繰り広げる展開など、非常に盛り上がるのですが……

 なにはともあれ、よく知られているように、実質二度に渡って中途で終わったような扱いとなっているのは、大いに勿体ないとしか言いようがない一方で、それもやむなし――というより、そこに至るまでの経緯はさておき、今のそれ以外のどのような結末が描けたかわからない――という気もいたします。


 さて、こうして見比べてみると、現在放送中のアニメが想像以上に原作を巧みに換骨奪胎していることがよくわかるのですが――しかし、やはり原作にあった百鬼丸のキャラクターが変えられてしまったのは、実に勿体ない、という印象があります。
 不敵で不屈の闘志を持ち、そして常に斜に構えたような態度を見せながらも実は熱血漢――という原作のキャラクターは、これはこれで一種のヒーローの類型かもしれません。しかしそれが百鬼丸独特の設定と結びついた時、残酷な運命に立ち向かう――いや食らいつく「人間」の生命力というものを、強烈に感じさせるのであります。

 そしてそれが、生まれや育ちこそ違え同じ強烈な生命力を持つどろろと共鳴し、物語で繰り返し描かれる反権力のモチーフと結びついた時に生まれる一種の反骨精神は、今の目で見ても、いや今この時代に見るからこそ、力強く好もしく感じられます。。
 もちろんこれはこれで「時代性」というものかもしれません。しかし、本作の根底にあるのが人間性を奪うものへの怒りであり、そしてそれに対する反逆を体現するのが、百鬼丸のあのキャラクターである――というのは、決して牽強付会ではないと感じるのであります。

『どろろ』(手塚治虫 講談社手塚治虫文庫全集 全2巻ほか) 第1巻 Amazon/ 第2巻 Amazon
どろろ(1) (手塚治虫文庫全集)どろろ(2) (手塚治虫文庫全集)


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 『どろろ』 第二話「万代の巻」
 『どろろ』 第三話「寿海の巻」
 『どろろ』 第四話「妖刀の巻」
 『どろろ』 第五話「守り子唄の巻・上」
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 『どろろ』 第七話「絡新婦の巻」
 『どろろ』 第八話「さるの巻」
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 『どろろ』 第十話「多宝丸の巻」
 『どろろ』 第十一話「ばんもんの巻・上」
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 『どろろ』 第十三話「白面不動の巻」
 『どろろ』 第十四話「鯖目の巻」
 『どろろ』 第十五話「地獄変の巻」
 『どろろ』 第十六話「しらぬいの巻」
 『どろろ』 第十七話「問答の巻」
 『どろろ』 第十八話「無常岬の巻」
 『どろろ』 第十九話「天邪鬼の巻」
 『どろろ』 第二十話「鵺の巻」
 『どろろ』 第二十一話「逆流の巻」
 『どろろ』 第二十二話「綾の巻」

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2019.06.16

『鬼滅の刃』 第十一話「鼓の屋敷」

 新たな任務に向かう途中、女の子に抱きついて泣き叫ぶ善逸と出会った炭治郎。善逸を引きずって任務先の屋敷についた炭治郎は、兄が鬼に捕らわれたという兄妹と出会う。不気味な鼓の音が聞こえる屋敷の中に入った二人だが、敵の血鬼術の前に分断されてしまう。さらに炭治郎の前には奇怪な男が……

 本当に鬱陶しいなあ善逸は!(笑顔)

 ……という気分になってしまう今回。冒頭、炭治郎の行く先で女の子にストーカー紛いのつきまといをした上に結婚を迫る(というか結婚して欲しいと泣きつく)という善逸の常軌を逸した行動には、原作初読の時に無言で善逸を見る炭治郎のような顔になりましたが、今回もきっちりそんな顔になりました。

 とにかくハイテンションな後ろ向きとも言うべき善逸の言動に呆れながらも、善逸をなだめて任務先の人里離れた和風建築を訪れる炭治郎。そこでさりげなく善逸の耳の良さが描写されるのですが――それは一旦置いておいて、炭治郎は、屋敷の側で震えていた正一とてる子の幼い兄妹を見つけます。
 怯える二人を(善逸の)雀を使ってなだめて心を開くのはさすがに炭治郎の長男力と感心――というのはさておき、兄が屋敷の鬼に引きずり込まれたという話を聞き出す炭治郎。とその時、善逸の耳にのみ聞こえていた鼓の音とともにズタズタの青年が窓から落下! 運良くと言ってよいのかはわかりませんが、犠牲者は正一たちの兄ではなかったものの、もはや座視は出来ぬと炭治郎は屋敷に足を踏み入れるのでした。……嫌がる善逸を、炭治郎には本当に珍しい般若フェイスで威嚇しながら。

 しかし未だに前回の戦いの傷が癒えていない(本隊もそれぐらい治療させてあげればいいのに――と思えば、そもそもあの戦いの非公式戦のような扱いなのかしら)炭治郎の状態を知って泣き叫ぶ善逸。さらに安全のために屋敷の外に禰豆子の箱と一緒に残してきたお子様二人が(その箱の中からカリカリ音がすると怖がって)屋敷の中についてきてしまい、もはやどうしようもなくグダグダな状況であります。
 そしてそんな中に再び響き渡る鼓。ビビる善逸の尻に跳ね飛ばされるという実にしょうもない形で別の部屋に入ってしまった炭治郎とてる子ですが――気付いてみれば先ほどまでいたのとは全く別の見知らぬ部屋。どうやら鼓の音がする度に、部屋から部屋にワープさせられているようであります。

 そして残された善逸はやっぱり超パニックですが、そんな彼に対して正一の素晴らしい毒舌がヒット。それでも別に反省せず、パニックになったまま部屋から部屋に移動しまくるというホラー映画であれば真っ先に惨殺されそうな行動を取る善逸ですが――ある部屋を開けてみれば、そこには猪の顔を被った半裸の男が! 和風ホラーだったはずが一瞬にしてアメリカのスラッシャーホラーに転じた瞬間ですが、幸いというべきか、猪男は善逸には目もくれず、どこかへ走って行くのでした。

 そして炭治郎とてる子の方は、小生小生連呼しながらブツブツ喋る、体から幾つもの鼓を生やした鬼が目の前を行くのを目撃するのですが――不意打ちができない男・炭治郎が礼儀正しく所属と階級と名乗りを上げて斬りかかった瞬間、鼓の音とともに部屋は回転。鬼はそのまま先に行ってしまい、その次の瞬間、襖だか壁だかを突き破って現れたのはあの猪男! 善逸と違い、炭治郎は猪男が二本の刃が欠けまくった日輪刀を持っていることを見抜くのですが……


 本当に鬱陶しいなあ善逸は! ともう一度繰り返したくなる今回。前回ラストに顔見せしたものの、本格的な登場は今回からの善逸は、声と動きがついてみるとさらに鬱陶しいことこの上ありません。もちろんこれは褒め言葉ですが(本当よ?)、いやよくこんなキャラクターを主人公の最初の仲間として出してきたものだと改めて感心します。
 正直なところ、相変わらずギャグ演出はむしろ気恥ずかしさが漂うくらいなのですが、アニメオリジナルの、炭治郎にもらったおにぎりを炭治郎も空腹なのを知って半分返す善逸という描写は、この先に描かれる善逸の人間性をちょっぴり先取りする形で、なかなかよいシーンであったとは思います。

 そしてもう一人、初登場の猪男ですが――これまたよくこんなキャラクターを(略)と改めて感心するばかり。こちらの活躍(?)は次回からですが、豪快な暴れっぷりに期待しましょう。


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 『鬼滅の刃』 第三話『錆兎と真菰』
 『鬼滅の刃』 第四話「最終選別」
 『鬼滅の刃』 第五話「己の鋼」
 『鬼滅の刃』 第六話「鬼を連れた剣士」
 『鬼滅の刃』 第七話「鬼舞辻無慘」
 『鬼滅の刃』 第八話「幻惑の血の香り」
 『鬼滅の刃』 第九話「手毬鬼と矢印鬼」
 『鬼滅の刃』 第十話「ずっと一緒にいる」


 吾峠呼世晴『鬼滅の刃』第3巻 ついに登場、初めての仲間……?

関連サイト
 公式サイト

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2019.06.15

山本巧次『開化鐵道探偵 第一〇二列車の謎』 徳川埋蔵金が映し出す時代の境目の想い


 デビュー作『大江戸科学捜査 八丁堀のおゆう』もドラマ化された作者が、明治時代の鉄道を舞台に描くミステリシリーズの第2弾です。元八丁堀同心と鉄道技手のコンビが、今回挑むのは、何者かによって脱線させられた新型車両から発見された千両箱を巡る数々の謎であります。

 逢坂山トンネルの怪事件から6年後の明治18年――開業間もない大宮駅で、新型車両を連結した貨車の脱線が発生。それが何者かがポイント切り替えを行ったことによるものだった上に、脱線した車両から、記録にない小判のつまった千両箱が発見されたことから、大事件に発展することになります。
 その積み荷を乗せたのは群馬の高崎――高崎といえば、末期の幕府を支えた勘定奉行・小栗上野介が隠棲し、官軍に処刑された地。すなわちこの千両箱は、密かに囁かれてきた徳川家の埋蔵金ではないのか!? と……

 そんな中、長州五傑の一人にして、今は日本の鉄道網整備に邁進する井上勝に呼び出された元八丁堀同心・草壁賢吾と、なりゆきから彼の助手を務めてきた鉄道技手・小野寺乙松は、この事件の調査のために高崎に向かうことになります。
 高崎で二人を待ち受けるのは、千両箱=徳川埋蔵金を巡って火花を散らす没落士族、自由党の過激派、そして警察。そんな一触即発の状況下で、ついには高崎駅で自由党員が殺害される事件までが発生するのでした。

 小野寺の新妻で高崎出身の綾子まで捜査に加わり、三つ巴、四つ巴の構図の中で、草壁が明かす事件の真相とは……


 鉄道が日本中に普及する前、先人たちが文字通り道を切り開こうとしていた時代を舞台に描かれる時代鉄道ミステリとも言うべき本シリーズ。
 前作は逢坂山トンネルに対する妨害工作に挑む草壁&小野寺コンビの姿が描かれましたが、今回は鉄道脱線を巡る事件だけでなく、何と徳川埋蔵金を巡る謎解きまでが加わり、大いにそそられるところであります。

 誰が鉄道を脱線させたのか、何故その貨車に千両箱が乗せられていたのか。高崎駅で何故殺人は起きたのか。そして何よりも、本当に埋蔵金は存在するのか……
 上で述べたように、埋蔵金を巡って各勢力が入り乱れる中、事件の様相も前作に比べてグッと派手になり、クライマックスでは大乱戦も勃発するサービスぶりですが――主人公サイドも、新たに綾子が加わって賑やかになったのが楽しいところであります。

 美しく聡明で非の打ち所のない女性――のようでいて、いささか好奇心が強すぎて、隙あらば事件に首を突っ込んでくるという彼女の存在は、ある意味お約束ではあります。しかし前作同様、時に端正すぎる部分がある本作をいい感じにかき回してのが楽しいところです。(彼女の存在を含めて、様々な点で前作での不満点を解消しに来ているのは好感が持てます)


 しかし本作で最も強く印象に残るのは、やはり小栗上野介の、徳川幕府の埋蔵金の存在でしょう。
 もちろん本作のオリジナルではなく、現代に至るまで、幾度も存在が囁かれてきた小栗上野介の埋蔵金。フィクションの題材となることもしばしばですが――本作は上で述べてきたように、この埋蔵金の存在がそもそもの発端であり、事件に関わる者たちを動かす原動力であり、そして全ての謎の淵源とも言える存在なのであります。

 そして埋蔵金はそれだけでなく、一種の鏡としての役割をも果たします。埋蔵金を巡る人々の――明治18年という、江戸時代の残滓がどんどん消えていく一方で、まだ完全に新たな時代が来たわけではない、そんな狭間の時代に生きる人々の心を映す鏡として。

 本シリーズの舞台そして題材は、鉄道という新たな時代の象徴ともいうべき存在であります。しかしそんな新たな時代に乗り切れない人々もいます。古い時代の傷に苦しむ人々もいます。
 そんな時代の境目で人々が抱えるやりきれない想いは、埋蔵金に対する態度にも表れます。そしてそんな想いが引き起こす事件を、やはり元八丁堀同心という過去を持ちつつ、それに囚われない草壁が解決していく――そんな構図は、何とも象徴的に感じられるのです。

 もっとも本作のような物語においては、草壁のその囚われなさが少々ずるいな、と感じさせられるのも事実なのですが……


 何はともあれ、前作以上に時代ミステリとして楽しめた本作。続編があるならば、舞台はやはりラストに登場したあの地ではないかという気もしますが――さて。


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開化鐵道探偵 第一〇二列車の謎 (ミステリ・フロンティア)


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2019.06.14

賀来ゆうじ『地獄楽』第6巻 怪物二人の死闘、そして新たなる来訪者


 謎の孤島で繰り広げられる死罪人/浅ェ門たちの死闘もいよいよ佳境。島を支配する「てんせん様」を、死闘の末にようやく一人倒した死罪人と浅ェ門たちですが、しかしその状況は決して好転したわけではありませんそして画眉丸に起こった恐るべき異変が、事態をさらに混沌とさせることに……

 不老不死の仙薬が眠るという孤島に、無罪放免と引き換えに送り込まれた死罪人たちと、監視役の山田浅ェ門たち。しかしその島は異形の怪物たちが徘徊する魔境――そしてその中でも桁外れの力を持つ「てんせん(天仙)様」たちとの戦いの中で、彼らは次々と命を落としていくことになります。

 そして迷い込んだ島の中心部で、てんせん様の一人・不空就君ムーダンと交戦することとなった佐切・杠・仙汰そしてヌルガイと士遠。「タオ」に目覚めた佐切たちは、巨大な怪物と化したムーダンに対して死力を尽くして挑み、ついにこれを倒すのですが――その最中で仙汰が命を落とすのでした。
 一方、佐切たちとはぐれた画眉丸とめいは、巖鉄斎・付知と合流したものの、うち続く激戦の中でタオを消費した画眉丸の記憶は混濁し、かつて殺人機械「がらんの画眉丸」だった頃の人格が甦ってしまうのでしたことになります。

 そんな状況で遭遇したのは、「賊王」亜左弔兵衛とその弟・桐馬。共闘も念頭になく、いきなり襲いかかってきた弔兵衛を迎え撃つ画眉丸ですが……


 というわけでこの巻の冒頭で描かれるのは、島の異形に寄生されて半ば化け物と化しつつある弔兵衛と、歯止めの効かなくなった画眉丸という、怪物二人の死闘。
 元々、ともに作中の人間の中では最強クラスの戦闘力・生命力の持ち主ではある上に、それぞれ理性の箍が外れかけた状態とあって、展開されるのは凄惨とも壮絶とも言うべき戦い――いや潰し合いであります。

 しかし一方の画眉丸がこの島で手に入れた力は、「強さ」のみで発揮できるものではありません。「強さ」の種となる「弱さ」――陰と陽が一つとなって円を描くように、強さと弱さの二つが対になって、初めて得られるものであります。
 それを失った画眉丸が、更なる怪物化をみせる弔兵衛に勝てるのか? その答えは残念ながら明らかではありますが、しかし……


 と、意外な展開が連続した末に、ようやく合流/再会した画眉丸サイドと佐切サイド。両者が合流して一行は九名、一気に戦力が増強された感がありますが――しかしそれでもてんせん様を倒すにはまだまだ足りないことは言うまでもありません。
 てんせん様を打倒し、この島から脱出するために、ある者は力を求め、ある者を知識を求め――その果てに明らかになるのは、この島を作り出したのが、歴史上に名を残すあの人物であることであります。

 蓬莱をはじめとする東方三神山の名が時点でその名が登場するのは半ば約束されたようなものだとは思っていましたが、なるほど、こういう形で関わってくるとは――と、ここでの登場には思わずニヤリ。
 この先、本当に本人が登場することになるのか――その可能性は非常に高いと思われますが、だとすればその役割はどうなるのか。さらに物語は予想もしない方向に転がっていく予感があります。

 そしてこの巻のラストでは、ついに巻末組――と、言いたくなるようなこれまでの出番だった――の浅ェ門追加チームがついに島に上陸。
 殊現・十禾・清丸・威鈴と明らかに尋常ではない使い手四人が、そしてさらに画眉丸を狙う石隠れ衆たちが島に現れたことで、再び人間同士の死闘が繰り広げられることになるのか――? 一つだけ間違いなく言えるのは、この先ますます戦いは激化するであろうということであります。


 ちなみにこの巻では、再会した佐切と画眉丸が、プラトニックな、しかしちょっとドキドキするような絡み方をするのですが――その直後に別のキャラクターが、本来敵である相手と全然プラトニックではない絡みを見せるのがちょっと面白い。
 しかもこの二つの場面、回復のためという点では共通していて――なるほど、画眉丸と彼はある意味対になる存在であったかと、今更ながらに感心しました。


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2019.06.13

安萬純一『滅びの掟 密室忍法帖』 忍法帖バトルをミステリに再構築した意欲作


 サブタイトルを見ただけで「これは!」と思わざるを得ない――ミステリ作家であり、『忍者大戦 黒ノ巻』にも参戦した作者による本作は、伊賀と甲賀の五対五のトーナメントバトルと、それと平行する奇怪な連続殺人を繋ぐ恐るべき謎を描く、時代伝奇忍者ミステリと言うべき力作であります。

 時は島原の乱から数年後――伊賀に点在する忍びの里の一つ、木挽の里に、江戸の五代目服部半蔵からの使いが現れたことから、この物語は幕を開けることになります。
 その半蔵からの命とは、里の使い手五人――塔七郎、半太夫、五郎兵衛、十佐、湯葉――に対して、甲賀の忍び五人――麩垣将間、藪須磨是清、紫真乃、奢京太郎、李香――を討てというもの。

 しかし、戦国の世ならいざ知らず、共に徳川家に仕える甲賀の忍びを何故殺さなければならないのか? そんな疑問を胸に抱きつつも、しかし忍びにとって上からの命令は絶対、甲賀に向けて伊賀の五人は旅立つのでした。
 しかし早くも最初の犠牲者が――五人の中でも最強と目される半太夫の顔の皮が何者かによって無惨にも剥がされ、集合場所に打ち付けられているのが見つかったではありませんか。

 ところが、塔七郎たちが里を離れた間に、何者かによって里の住人たちが殺されていくという事態が発生することになります。外敵に対しては鉄桶であるはずの里の守りが簡単に破られ、里の者たちの探索も空しく、次々と犠牲者は続くのでした。

 熾烈な忍法合戦が繰り広げられる間も、次々と殺されていく里の人々。この両者に関連があると考えた塔七郎は、戦いの中で知り合った旅の牢人・由比与四郎、そして江戸城勤めの親友の手を借りて、背後にあるものを探ろうとするのですが……


 副題から明らかなように、山田風太郎の忍法帖のオマージュという性格を色濃く持つ本作。なるほど、見方を変えれば忍法帖の忍者たちはそれぞれ独自のトリックによる殺人者であり、そして同時に被害者であります。本作はその点に着目して、忍法帖をミステリとして再構築してみせたものと言えます。
 そして本作の場合、登場する忍者たちが、自分が何故戦うかを知らない――すなわち変形のホワイダニットものというべき内容なのが、また目を引きます。

 さらに本作は、その副題が示すように「密室」にまつわる忍法が――すなわち殺人手段が――全てとはさすがに言わないまでも、数多く登場するのがユニークであります。
 忍者で密室? と思われるかもしれませんが、代表選手の中に密室/機械式トリックマニアがいた、という理由で、本当に次々と趣向を凝らした密室が登場するのが実に楽しい。かなり豪腕ではあれど、そこ繰り広げられる忍法殺人の数々は、副題に偽りなしと言うべきでしょう。


 しかし、本作の魅力は、そんな連続殺人としての忍法バトルのみというわけでは、もちろんありません。忍法バトルが本作の縦糸とすれば、横糸は里で起きる連続殺人――代表選手を派遣しているとはいえ、本来無関係であるはずの忍びの里で、何故人々が殺されていくのかという謎であります。
 その内容に触れるわけにはもちろんいかないのですが――しかしこの謎こそが、本作を時代ミステリとして成立させている、ということはできます。

 忍者たちの使命の陰にもう一つ、ある存在のさらに巨大な、恐るべき意図が、というのは、山田風太郎の『忍びの卍』を思い出させます(そして作者も同作に強い影響を受けていることを言明しているのですが)。
 本作はそんな忍者を題材とした時代ミステリの流れを汲みつつも、本作ならではの謎と仕掛けを用意し――特に「真犯人」も想定しなかったある人物の秘密を絡めることで、事件をさらに複雑なものに変えてみせるのはお見事と言うほかありません――そしてさらに、この時代が生んだ非情と無情、そして理不尽の存在をえぐり出すのであります。


 もっとも、この本作最大の仕掛けについては、ちょっと苦しい部分があるように感じられる点は否めません。ここまで回りくどい手を使わなくとも――と。
 しかしこれは「忍者は殺し合うもの」という忍法帖のルールを内面化している我々だからこそ引っかかるトリックであると考えれば――むしろ本作だからこそできるトリックであると言えるものでしょう(また、読み進めながらちょっと違和感のあったトーナメントバトルの展開もまた――なのにも感心させられました)

 忍法帖をミステリとして読み替え、そして忍法帖であることをトリックとする――そんな意欲的かつ魅力的な作品であります。

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滅びの掟――密室忍法帖


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2019.06.12

『どろろ』 第二十二話「綾の巻」

 囚われたどろろを逃がし、自分も百鬼丸に会うために館を抜け出した縫の方。その百鬼丸は、己の身体とどろろを求めるあまり、鬼神と化したミドロ号と一体化して、醍醐の兵を手に掛けながら突き進む。一方、余命幾ばくもない中、自分の身を地獄堂の鬼神に捧げようとするも拒まれる陸奥。しかし……

 いよいよ醍醐と朝倉の間で戦いが始まろうとする中、醍醐に向かう寿海。しかしその彼も、目の前を行く一団が、百鬼丸と共に在ったどろろを捕まえて帰る途中であるとは思いもよりません。そして醍醐の館で牢に閉じこめられたどろろですが――彼女を助けたのは、なんと百鬼丸の母・縫であります。
 どろろを逃がすという縫ですが、彼女のばんもんでの言動をしっかり覚えていたどろろは不満タラタラ。しかしお母ちゃんに滅茶苦茶弱いどろろは、文字通り縫に抱き込まれ、結局彼女とともに行動することになります。

 その縫も初めはどろろを抜け穴から逃がすだけのつもりだったのですが、しかし百鬼丸と行動を共にしてきた彼女と一緒にいるうち、自分も百鬼丸に会いたくなって出奔。二人で小舟で川を下るのですが――しかし急流に捕まって、川に投げ出されるのでした。
 と、どろろが目覚めてみれば、そこにいたのはミドロ号の子供と、相変わらずタイミングの良い琵琶丸。戦や病で住むところを奪われたり、傷を負った人々が寄り集まった集落に、どろろは救われたのであります。そして同様に救われた縫は、自ら人々の助けになろうと働くのですが――意外と醍醐の所業に理解のある人々は、彼女の正体が半ば公然の秘密となっても受け入れているようです(これでは原作の一揆エンドはないか……?)

 さて、そんな中で醍醐の兵がおかしな動きをしていることを知るどろろたち。どうやら向かってくる何者かと戦い、そして敵わず浮き足立っているようですが――さては百鬼丸かと思えば、彼だけではなかったのであります。百鬼丸がまたがるのは、前回可愛い子供から引き離された上、無惨に特攻兵器に使われて爆死し、燃えるたてがみを持つ姿で甦ったミドロ号。まさか百鬼丸が鬼神(とは明言されていないのですが)と行動を共にするとは――と思いつつも、しかし百鬼丸もミドロ号も、醍醐に大切なものを奪われたという点は共通なのです。
 ……が、何の罪もない、醍醐の側にいるというだけの兵を叩き斬り、蹄にかけ、そして火だるまにするというのはいくら何でもやりすぎであります。もはや二匹、いや一体の鬼神と化した百鬼丸とミドロ号は、あの密偵もあっさりと消し炭にすると、ひたすら醍醐領に向かって突き進むのでした。

 さて、その百鬼丸を前回三人がかりで襲いながらも、顔に再び深手を負った多宝丸と、それぞれ片腕を失った陸奥と兵庫。しかも陸奥は疾病を発症し、体中には赤い腫れものが浮かび上がる状態であります。しかしそんな中でも、ある一念から必死に体を動かし、療養中の館から姿を消す陸奥。「姉上がいなくなった!」と驚く兵庫とともに、その行方を探す多宝丸ですが――姉上!?(完全に声の高い青年という設定だと思いこんでおりました)
 その陸奥が向かった先は、あの地獄堂――最後の鬼神が地獄堂に潜むことを知る陸奥は、醍醐を、多宝丸を守るために、自らの身を鬼神の生贄として捧げようとしていたのであります。そして駆けつけた多宝丸と兵庫の前で、鬼神に訴えかける陸奥ですが――彼女は残酷な真実を知ることになります。鬼神が生贄として受け取るのは、あくまでも醍醐の跡継ぎの身体のみ、と。しかし、あくまでも受け取るのはであって、与えるのは……

 そして四度、百鬼丸の前に立ち塞がる多宝丸、そして陸奥と兵庫。しかし陸奥と兵庫には、失われたはずの腕があるではありませんか。そして多宝丸の潰れた目が、そして新たな傷が口を開け、そこから現れたのは二つの目玉――そう、奪われた百鬼丸の身体のうち、いまだ戻ってきていない両腕、そして目は、最後の鬼神によって多宝丸たちに与えられたのです。
 奪われた身体が自分の敵に与えられたことに怒り狂い、襲いかかる百鬼丸ですが……


 残すところついに3回となったところで、寿海までもが醍醐に現れ、ついに百鬼丸に関わる全ての人間が集まった感がある今回。しかし物語の方は予想をはるかに超えた地獄絵図が繰り広げられることとなります。
 ミドロ号に乗る百鬼丸という、ある意味夢のコラボに驚く間もなく、ついに身も心も鬼神と化し、己の行く手に立つ者全てを血祭りに上げる百鬼丸。そして彼の前に立つ多宝丸は、醍醐を守るためとはいえ、その百鬼丸の身体を奪って異形と化すのですから。

 実は多宝丸が片目を失いながら生存した時点で彼が鬼神の力を得ることは予想していたのですが――しかしこの形で、このタイミングで描くとは。もはや希望は百鬼丸のもとに急ぐ縫の方のみですが――しかしそれとて、新たな惨劇の予感しかしないのです。嗚呼!


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