入門者向け時代伝奇小説百選

 約十年前に公開した「入門向け時代伝奇小説五十選」を増補改訂し、倍の「百選」として公開いたします。間口が広いようでいて、どこから手をつけて良いのかなかなかわかりにくい時代伝奇小説について、サブジャンルを道標におすすめの百作品を紹介いたします。

 百作品選定の基準は、
(1)入門者の方でも楽しめる作品であること
(2)絶版となっていないこと、あるいは電子書籍で入手可能なこと
(3)「原則として」シリーズの巻数が十冊以内であること
(4)同じ作家の作品は最大3作まで
(5)何よりも読んで楽しい作品であること の5つであります

 百作品は以下のサブジャンルに分けていますが、これらはあくまでも目安であり、当然ながら複数のサブジャンルに該当する場合がほとんどです(また、「五十選」の際のサブジャンルから変更した作品もあります)。
 そのため、関連のあるサブジャンルについては、以下のリストからリンクしている個々の作品の紹介に追記いたします。

【古典】 10作品
1.『神州纐纈城』(国枝史郎)
2.『鳴門秘帖』(吉川英治)
3.『青蛙堂鬼談』(岡本綺堂)
4.『丹下左膳』(林不忘)
5.『砂絵呪縛』(土師清二)
6.『ごろつき船』(大佛次郎)
7.『美男狩』(野村胡堂)
8.『髑髏銭』(角田喜久雄)
9.『髑髏検校』(横溝正史)
10.『眠狂四郎無頼控』(柴田錬三郎)

【剣豪】 5作品
11.『柳生非情剣』(隆慶一郎)
12.『駿河城御前試合』(南條範夫)
13.『魔界転生』(山田風太郎)
14.『幽剣抄』(菊地秀行)
15.『織江緋之介見参 悲恋の太刀』(上田秀人)

【忍者】 10作品
16.『甲賀忍法帖』(山田風太郎)
17.『赤い影法師』(柴田錬三郎)
18.『風神の門』(司馬遼太郎)
19.『真田十勇士』(笹沢佐保)
20.『妻は、くノ一』シリーズ(風野真知雄)
21.『風魔』(宮本昌孝)
22.『忍びの森』(武内涼)
23.『塞の巫女 甲州忍び秘伝』(乾緑郎)
24.『悪忍 加藤段蔵無頼伝』(海道 龍一朗)
25.『嶽神』(長谷川卓)

【怪奇・妖怪】 10作品
26.『おそろし』(宮部みゆき)
27.『しゃばけ』(畠中恵)
28.『巷説百物語』(京極夏彦)
29.『一鬼夜行』(小松エメル)
30.『のっぺら』(霜島ケイ)
31.『素浪人半四郎百鬼夜行』シリーズ(芝村涼也)
32.『妖草師』シリーズ(武内涼)
33.『古道具屋皆塵堂』シリーズ(輪渡颯介)
34.『人魚ノ肉』(木下昌輝)
35.『柳うら屋奇々怪々譚』(篠原景)

【SF】 5作品
36.『寛永無明剣』(光瀬龍)
37.『産霊山秘録』(半村良)
38.『TERA小屋探偵団 未来S高校航時部レポート』(辻真先)
39.『大帝の剣』(夢枕獏)
40.『押川春浪回想譚』(横田順彌)

【ミステリ】 5作品
41.『千年の黙 異本源氏物語』(森谷明子)
42.『義元謀殺』(鈴木英治)
43.『柳生十兵衛秘剣考』(高井忍)
44.『ギヤマン壺の謎』『徳利長屋の怪』(はやみねかおる)
45.『股旅探偵 上州呪い村』(幡大介)

【古代-平安】 10作品
46.『諸葛孔明対卑弥呼』(町井登志夫)
47.『いまはむかし』(安澄加奈)
48.『玉藻の前』(岡本綺堂)
49.『夢源氏剣祭文』(小池一夫)
50.『陰陽師 生成り姫』(夢枕獏)
51.『安倍晴明あやかし鬼譚』(六道慧)
52.『かがやく月の宮』(宇月原晴明)
53.『ばけもの好む中将』シリーズ(瀬川貴次)
54.『風神秘抄』(荻原規子)
55.『花月秘拳行』(火坂雅志)

【鎌倉-室町】 5作品
56.『幻の神器 藤原定家謎合秘帖』(篠綾子)
57.『彷徨える帝』(安部龍太郎)
58.『南都あやかし帖 君よ知るや、ファールスの地』(仲町六絵)
59.『妖怪』(司馬遼太郎)
60.『ぬばたま一休』(朝松健)

【戦国】 10作品
61.『魔海風雲録』(都筑道夫)
62.『剣豪将軍義輝』(宮本昌孝)
63.『信長の棺』(加藤廣)
64.『黎明に叛くもの』(宇月原晴明)
65.『太閤暗殺』(岡田秀文)
66.『桃山ビート・トライブ』(天野純希)
67.『秀吉の暗号 太閤の復活祭』(中見利男)
68.『覇王の贄』(矢野隆)
69.『三人孫市』(谷津矢車)
70.『真田十勇士』シリーズ(松尾清貴)

【江戸】 10作品
71.『螢丸伝奇』(えとう乱星)
72.『吉原御免状』(隆慶一郎)
73.『かげろう絵図』(松本清張)
74.『竜門の衛 将軍家見聞役元八郎』(上田秀人)
75.『魔岩伝説』(荒山徹)
76.『退屈姫君伝』(米村圭伍)
77.『未来記の番人』(築山桂)
78.『燦』シリーズ(あさのあつこ)
79.『荒神』(宮部みゆき)
80.『鬼船の城塞』(鳴神響一)

【幕末-明治】 10作品
81.『でんでら国』(平谷美樹)
82.『ヤマユリワラシ 遠野供養絵異聞』(澤見彰)
83.『慶応水滸伝』(柳蒼二郎)
84.『完四郎広目手控』(高橋克彦)
85.『カムイの剣』(矢野徹)
86.『箱館売ります 土方歳三蝦夷血風録』(富樫倫太郎)
87.『旋風伝 レラ=シウ』(朝松健)
88.『警視庁草紙』(山田風太郎)
89.『西郷盗撮 剣豪写真師・志村悠之介』(風野真知雄)
90.『明治剣狼伝 西郷暗殺指令』(新美健)

【児童文学】 5作品
91.『天狗童子』(佐藤さとる)
92.『白狐魔記』シリーズ(斉藤洋)
93.『鬼の橋』(伊藤遊)
94.『忍剣花百姫伝』(越水利江子)
95.『送り人の娘』(廣嶋玲子)

【中国もの】 5作品
96.『僕僕先生』(仁木英之)
97.『双子幻綺行 洛陽城推理譚』(森福都)
98.『琅邪の鬼』(丸山天寿)
99.『もろこし銀侠伝』(秋梨惟喬)
100.『文学少年と書を喰う少女』(渡辺仙州)



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2018.12.16

2019年1月の時代伝奇アイテム発売スケジュール

 師走とはよく言ったもので、月が変わって以来忙しさにかまけていたら、気がつけばもう月の半ば。新しい年も目前ですが、まず気になるのは来月の発売スケジュールです。というわけで1月――来年最初の時代伝奇アイテムの発売スケジュールであります。

 といっても12月に比べるとそれほどは発売アイテムが多くない1月。それでも注目の作品は少なくありません。

 まず何よりも必読は、武内涼『謀叛花』。作者の代表作である『妖草師』シリーズの最新巻にして完結編とのことで、これは残念ではありますが、最後の盛り上がりを楽しみにしたいと思います。
 そしてもう一つ大いに気になるのは、築山桂の双葉文庫からの新作です。タイトルは未定のようですが、作者のブログを見るにデビュー作シリーズの新作とのことですが――だとしたら!

 そのほかの新作では、廣嶋玲子『妖怪の子預かります 7 妖怪奉行所の多忙な毎日』、仁木英之『レギオニス 望京編』に注目であります。
 また、文庫化・復刊では、垣根涼介の室町ロマン『室町無頼』、そして復刊も順調に進行中で本当によかった瀬川貴次『暗夜鬼譚 血染雪乱(仮)』が要チェック。また、創元推理文庫からの末國善己編の時代ミステリ集は、『櫛の文字 銭形平次ミステリ傑作選』が登場です。

 一方、マンガの方では湯野由之&蝸牛くも『天下一蹴 今川氏真無用剣』の第1巻が登場。『ゴブリンスレイヤー』の作者の幻の作品の漫画化ということですが、さて……
 また、ちさかあや『狂斎』第1巻も楽しみなところです。

 そして、吾峠呼世晴『鬼滅の刃』第14巻、梶川卓郎『信長のシェフ』第23巻、川原正敏『龍帥の翼 史記・留侯世家異伝』第11巻もお待ちかねの続刊。
 肋家竹一『ねじけもの』第3巻と秋月カイネ『Fの密命』第2巻は、残念ながらこれで完結。いかなる結末を迎えるか、期待したいと思います。


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2018.12.15

『Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀2』 第11話「悪の矜恃」

 決戦に備え、魔剣目録を捲殘雲に預ける殤不患。その頃、悪事が露呈して追いつめられた嘯狂狷をさらに追い込もうとする凜雪鴉だが、思わぬ開き直りを見せた嘯狂狷に当てを外されてしまう。一方、仙鎮城を壊滅させた婁震戒の前に立ち塞がった浪巫謠は、視界を断って七殺天凌を追い詰めるのだが……

 冒頭、森の中で立ち合う二人の男。一人は殤不患、もう一人は短髪に眼帯の――捲殘雲! 槍を捨て、今は妻となった丹翡の家に伝わる丹輝劍訣を操る捲殘雲は、まだ慣れぬ技ということもあって殤不患にはまだまだ及びませんが、丹翡の気持ちもしっかりと慮るなど、殤不患をして親指を立たせしむるほどの好漢に成長した様子です。
 さて、その捲殘雲に殤不患が会いに来たのは、決戦を前に万が一にも敵に渡せない魔剣目録を彼に預かってもらうため。もちろん快諾した捲殘雲は、かつての兄貴分・狩雲霄と行動していた頃の隠れ家を転々として、一週間稼いでみせると請け合うのでした(人間何が役に立つかわからないものです)。

 一方、前回ついに凜雪鴉のトラップに引っかかり、東離では宝剣泥棒の濡れ衣を着せられ、西幽ではこれまで秘宝の数々を横領していたことが露見(予定)となってしまった嘯狂狷。(たぶん凜雪鴉が宝剣を隠していた)洞窟で荒れる嘯狂狷に、凜雪鴉は「そんなことで絶望しちゃだめだよ! まだきっと打つ手はあるよ!(でもやっぱりそんなものはなくて、ガッカリ屈辱顔を見せてね)」いう感じで、助言のふりをしつつトドメを刺しにかかるのですが……
 しかしここで嘯狂狷が態度を一変させます。これまでの慇懃無礼な態度をかなぐり捨てて、微妙に正体が露見した弁天小僧チックに開き直る嘯狂狷の姿に凜雪鴉は愕然。冷徹に悪事を重ねてきたのに、一気に破滅させられて絶望する姿にメシウマしようと思っていた相手が、豈図らんや、悪の矜持など欠片も持たない小物中の小物だったとは! 自分を陥れた奴の勝手な愉しみを粉砕したとも知らず、自分の明日からの身の振り方を算段する嘯狂狷に、凜雪鴉は怒り心頭で――しかしもちろん自分で手を下すなどはできず――去っていくのでした。

 さて、前回七殺天凌ラブが極まるあまり、彼女が嫌がる神誨魔械を滅ぼすべく、仙鎮城に殴り込んだ婁震戒は、城の護印師を皆殺しにし、城にあった神誨魔械を全て破壊。しかし最も強力な三本の宝刀は、先に逃れた伯陽候が持ち去っていた模様で、もうここには用はないと一人と一本は城を離れるのですが――その前に立ち塞がるはやはり一人と一本、言うまでもなく、浪巫謠と聆牙です。
 以前、蠍瓔珞が手にした七殺天凌をあと一歩まで追い詰め、そして諦空=婁震戒の危険性をただ一人見抜いて処断しようとした浪巫謠は、言うなれば七殺天凌にも婁震戒にも因縁の相手。といっても婁震戒が警戒などするはずなく、七殺天凌を手に襲いかかるのですが――もちろん浪巫謠は、再び自らの視覚を封じて立ち向かいます。

 視覚を封じてというのは、前回も祐清か碧樞のどっちだったかがやっていましたが、しかし浪巫謠の場合が決定的に異なるのは、彼には視覚に勝るとも劣らぬ聴覚があることと、何よりも滅茶苦茶に武術の腕が立つことであります。魅了は効かず、近づけば剣となった吟雷聆牙の斬撃が、離れれば琵琶に戻った聆牙の音撃が襲いかかる――遠近に隙なし、これは七殺天凌にとっては最悪の相手かもしれません。
 が、その七殺天凌を手にするのも達人の婁震戒。攻撃を躱しながら密かに石を拾い集めた彼は、宙に飛んで逃れた時にその石を放ち、足音と思わせておいて上から襲いかかるという(冷静に考えれば結構地味な)策で反撃! ああ、浪巫謠もこれで退場か――ということはなく、辛うじて肩を斬られただけですんだものの、しかし七殺天凌は小さな傷でも容赦なく体力を奪う魔力を持ち主。もはや浪巫謠の命運は極まったか……

 と、その時自分目掛けて飛んでくる物体を思わず婁震戒が手で受け止めてみれば、それは魑翼の骨笛――召喚された魑翼に捕まり、一人と一本は天空高くに追放されてしまうのでした(まあ、魑翼が力尽きたら戻ってきてしまうわけですが……)。さてその救いの主はやっぱり殤不患かと思えば、それは何と凜雪鴉。玩具であった嘯狂狷に裏切られて(?)機嫌は最悪のようですが、ナイスアシストではあります。
 そしてその原因である嘯狂狷は、大胆にも衙門に殴り込むや、己の手駒とするべく喪月の夜を振るって――と、ますます混沌とした状況ですが、残りはわずか2話であります。


 サブタイトルから、さぞかし立派な悪の矜持を見せて散るかと思いきや、そんなもの持ってないぜ! というスゴい切り返しを見せた嘯狂狷が全て持って行った気がする今回。玩具を失って暇になった凜雪鴉がようやく物語の本筋に絡むのかと思いますが、一筋縄では行かない物語でありキャラクターであるだけに、まだまだ油断できないところです。


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関連サイト
 公式サイト


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2018.12.14

平谷美樹『百夜・百鬼夜行帖』 第8章の4『大川のみづち』 第8章の5『杲琵墅』 第8章の6『芝居正月』


 北から来た盲目の美少女修法師が怪異に挑む連作短編シリーズ、第8章の後半の紹介であります。今回も怪獣ものやこれまでとは趣向の異なる怪異など、バラエティに富んだ作品が並びます。

『大川のみづち』
 大川に船を出していた倉田屋や薬楽堂の長兵衛の眼前で、水中から巨大な顔を出した怪物。彼らだけでなく夕涼みに来ていた大勢の人々に目撃された怪物を、伝説のみづちではないかと言い出す長兵衛ですが、相談を受けた百夜は冷たくあしらいます。
 しかし日本書紀に倣ったみづち退治を企画し、それを無念によって戯作に仕立て上げることを企む長兵衛。それを危ぶんで駆けつける百夜が見たみづちの正体とは……

 というわけで、今回も薬楽堂が登場する本作は、久々に桔梗も登場して賑やかなエピソードなのですが――しかしそれだけでなく、登場するのが怪異、というより怪獣というのが嬉しいところであります。
 何しろ今回の登場怪獣みづちは、大川からニュッと突き出した頭だけで八尺、全身ではおそらく二十尺という巨大さ。現代のサイズ感でみれば小ぶりかもしれませんが、大きな建造物のない江戸時代であればさぞかし「映える」ことでしょう。映像で見てみたい……!

 というのはさておき、そんな怪獣を前にしても、自分の商売に利用してやろうという長兵衛の商魂たくましさが印象に残る本作。考えてみれば、怪獣ものでマスコミ関係者が話をややこしくするというのは、まま見る展開であります。そんな長兵衛に頭を抱えながらも助けに向かった百夜による謎解きも楽しい一編です。


『杲琵墅』
 無頼の部屋住集団・紅柄党の一員・林信三郎の様子が最近おかしいのに気がついた頭目の宮口大学。信三郎を問いただしてみれば、数日前から周囲で腐った臭いが漂ってくるのに悩まされているというではありませんか。
 自分たちには感じられないその臭いが霊的なものではないか、と考えた大学から依頼を受けた百夜は、林家の隣の日比野家に秘密があると睨みます。はたして、日比野家から盗まれた手文庫が林家の庭に落ちていたことを知る百夜ですが……

 全く聞いたことが無い言葉「杲琵墅(こうびしょ)」がタイトルとなっている本作は、「臭い」を題材とした怪談。何だかわからないモノの臭いを嗅いでしまう、嗅がされてしまうというのは、対象がどこにあるかわからないだけに、何とも始末が悪いとしか言いようがありませんが――解き明かされた真相は、この存在であれば、と感じさせられます。
 そして明らかになるタイトルの意味も、なるほどと感心させられるもので、小品ながら面白いエピソードであります。


『芝居正月』
 顔見世興行も近づく十月の晩、両国の芝居小屋・東雲座で夜毎起きる怪異。誰もいない小屋の中から様々な声が聞こえてくるという怪異の解決を依頼された百夜は、調査に向かった東雲座で、強い情念を背負った菊之丞という役者に目を留めます。
 はたして聞こえてくる声の内容は、菊之丞が演じる役の台詞。さらに彼が南部の出身であることを知った百夜たちが、彼の長屋で見たものは……

 臭いに続き、今度は音にまつわる怪談である本作。芝居が題材といえば、鶴屋南北の息子・孫太郎を相棒とする鐵次の出番では――と一瞬思ってしまいますが、物語が進むにつれて、これは百夜が挑むべき事件であるということがわかります。
 この怪異の正体――そしてそれがまた、この巻の幾つかのエピソード同様、これまでのシリーズと大きく異なる趣向のものなのですが――は比較的早い段階で明らかになるのですが、しかし問題はこれから。怪異を祓って終わりとならない一件に決着をつけたのは――これはまさしく、役者が違うと言うべきでしょうか。


 ところで以下は蛇足。本作でおっと思わされるのは、作中でこれが『ゴミソの鐵次調伏覚書』シリーズの第3弾『丑寅の鬼』の翌年であると明言されていることであります。
 ゴミソの鐵次と孫太郎が出会ったのは文政7年ですから、本作はそれ以降の出来事となりますが、一方で『草紙屋薬楽堂』シリーズの『絆の煙草入れ』は文政3年の出来事。すなわち本作は『草紙屋薬楽堂』の出来事よりも少し後の時期を描いていることになるのですが、だとすれば前回紹介した『笑い榎』でまだ本能寺無念が無名のように描かれていたのと少し矛盾があるのですが、これはもちろん、ここで登場する薬楽堂と無念が、いわばプロトタイプであるためでしょう。

 そして薬楽堂といえばやっぱり欠かすことができないあの人は――それは次回のお楽しみ、であります。


『百夜・百鬼夜行帖』(平谷美樹 小学館) 『大川のみづち』 Amazon/ 『杲琵墅』 Amazon/ 『芝居正月』 Amazon
夢幻∞シリーズ 百夜・百鬼夜行帖46 大川のみづち 百夜・百鬼夜行帖シリーズ (九十九神曼荼羅シリーズ)夢幻∞シリーズ 百夜・百鬼夜行帖47 杲琵墅(こうびしょ) 百夜・百鬼夜行帖シリーズ (九十九神曼荼羅シリーズ)夢幻∞シリーズ 百夜・百鬼夜行帖48 芝居正月 百夜・百鬼夜行帖シリーズ (九十九神曼荼羅シリーズ)

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 『鯉と富士 修法師百夜まじない帖』 怪異の向こうの「誰」と「何故」

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2018.12.13

鳴神響一『江戸萬古の瑞雲 多田文治郎推理帖』 芸術家の精神と世俗なるものの衝突の果てに


 江戸の文化人にして名探偵・多田文治郎が怪事件に挑むシリーズの第三弾であります。今回文治郎が挑むのは、萬古焼の祖である実在の陶物師(陶芸家)・沼波弄山が主催する宴席の最中で起きた殺人事件。果たして被害者は何故殺されたのか、そして事件の背後にあるものは……

 猿島六人殺し、祝儀能殺人事件と難事件を次々と解決してきた書家にして戯作者・多田文治郎(後の沢田東江)。これまでの事件で縁があった幕府目付役・稲生下野守から宴席に誘われた文治郎は、新年早々、上野池之端の料理茶屋に足を運ぶことになります。
 将軍家御数寄屋御用を務める江戸随一の陶物師・沼波弄山が主催するその宴席で振る舞われるのは、普茶料理――大皿や大鉢に盛られた精進料理を各人が取り分けて食べるという、当時では極めて珍しい形式の料理であります。

 富裕な旗本たち、そして後に名高い浮世絵師や戯作者、蘭方医となる人々とともに料理を堪能し、その席で踊り子たちの芸を楽しむ文次郎ですが、その最中に客の一人である二丸留守居役・河原田内膳が具合を悪くして席を立つことになります。
 その後も宴席は続くもの、いつまで経っても帰ってこない内膳。それもそのはず、内膳は厠小屋の中で、首に長火箸を突き刺された死体となっていたのですから!

 その場で下野守から事件捜査を依頼された文治郎は、宴席に参加していた杉田玄白の協力で、内膳が何らかの毒を盛られて体調を崩し、そのために厠に立ったところで待ち構えていた何者かに襲われたと目星をつけます。
 しかし宴席に参加していた者には完全なアリバイがあり、別の建屋で控えていた供の者たちの動きは細かくは把握できない状況。そもそも、何故内膳が狙われたのか、狙われたとすれば、始まるまで席が決まっていなかった宴席で、どうやって毒を盛ったのか?

 五里霧中の謎に対し、文治郎は旧友で下野守の部下でもある徒目付の甚五左衛門、江戸に出てきた相州の漁師の娘・お涼ら、お馴染みの面々の手を借りて、内膳、そして弄山の周囲を探索していくことになるのですが……


 孤島にいた者全てが犠牲者となった連続殺人、能が演じられる最中の客席での殺人に続いて本作が描くのは、江戸では珍しい形式の宴席の最中に発生した殺人事件。
 前作同様、あまりにもセンセーショナルな第1作に比べると非常に地味(という表現はいかがなものかと思いますが)ではありますが、文治郎の丹念な調査と推理によって、徐々に謎の全貌が明らかになっていくというスタイルは、本シリーズらしい真面目さを感じさせます。

 特に、膳で一人ひとり料理が出される普通の宴席とは異なり、自分たちで料理を取り分ける普茶料理というシチュエーションを使った謎の設定は本作ならではのもので、トリック自体は軽いものの、その背後に様々な人間心理が働くという構図は悪くありません。

 しかし本作ならではという要素は、むしろ何よりも物語の背景となる萬古焼という芸術の世界ではないでしょうか。
 もともと桑名の商人でありながら焼き物の世界に惹かれ、自分でも窯を開いた弄山。いわば旦那芸であったそれを一個の芸術にまで高めたのは、弄山の芸術家としてのセンスであることはもちろんのこと、それを支えた彼の精神性であると、本作は感じさせます。

 そしてその精神性は、彼一人ではなく、芸術家と呼ばれる者、何かを新たに生み出す者に共通のものといえるでしょう。それは人間の自由な精神性の発露とも言うべきものですが――しかし、それは同時に、その自由さ故に、世俗的なるものと衝突し、歪められかねないものでもあります。
 思えば本シリーズで描かれる事件の背後に通底するのは、そのような構図であったと感じられます(ちなみに本作、特に解説されていないものの、件の宴席に参加した町人たちが、いずれも著名な文化人としての顔を持つのが実に面白い)。

 だとすればこうした事件を解決するのは、職業探偵ではなく、自身もまた芸術家である――それでいて世俗にも片足を置いている――文治郎でなければならなかったと言うことができるのではないでしょうか。


 もちろんこれは私の深読みのしすぎかもしれませんし、そうだとすれば、時代ミステリとしても、一種の芸術小説としても、もっともっと踏み込んでほしかった、という印象はかなり強いのですが――しかし本シリーズが、本シリーズならではの独自の世界観を構築しつつあるのも、また事実と感じられるところであります。


『江戸萬古の瑞雲 多田文治郎推理帖』(鳴神響一 幻冬舎文庫)

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2018.12.12

SOW『風銘係あやかし奇譚』 百人斬りが見た文明開化の光と陰


 西南戦争で百人斬りの悪名を轟かせた時代遅れのサムライと、内務省警保局図書課風銘係なる肩書きを持った謎の少女が、文明開化の世に新たな生き方を探す(中であやかし絡みの騒動に巻き込まれる)、ちょっと変わった明治ものノベルであります。

 西南戦争の熊本城での激戦で無数の官軍を斬った末、深手を負って捕らえられた青年・乃木虎徹。牢の中で意識を取り戻した彼を迎えに来たのは、卯月と名乗るちょっと変わった少女でありました。

 彼女が勤めるのは内務省警保局図書課風銘係なる聞いたこともない部署。その上司であり、官界に顔の利く謎の男・天樹鈴白に何故かスカウトされた虎徹は、行く宛もなかったこともあり、試用期間ということで風銘係に参加することになります。
 その風銘係の業務とは、一種の文化振興事業。文明開化の世にはびこる因習や偏見・誤解を解くために奔走する卯月を――自分自身も文明開化の風物に驚きつつ――助けて、虎徹は奮闘することになります。

 そんな中、二人が新宿の貧民街で出くわしたのは、コレラの流行に乗じてぼろ儲けを企むインチキ宗教者。人々を誑かし、こちらの言葉も通じない相手に、人斬りに戻ることを決意する虎徹ですが、その前に宗教者に雇われた用心棒が現れます。異様な存在感を漂わせるその男こそは、帝都を騒がせるある事件の犯人であり、そして……


 文明開化の時代を舞台した物語といえば、文明開化に乗り切れない時代遅れのサムライか、あるいは夢に燃えてその文明開化の最先端で活躍(奮闘)する人物が主人公になるというのが、まず定番でしょう。

 そして本作の主人公たる虎徹は、その双方の要素を持つキャラクター――すなわち、西南戦争で人を斬って斬って斬りまくってきた最後の薩摩武士にして、一転、風銘係なる肩書きで文化振興に奔走する人物として、描かれることになります。
 もちろんそこには卯月という導き手がいるのですが、ちょっと浮き世からずれたキャラである卯月と、さらにずれている虎徹のおかしなコンビが文化振興に当たる様は、本作の前半の見せ場というべきでしょうか。

 ちなみにその中で虎徹が目の当たりにすることになる文明開化の東京の姿は、有名なものからマイナーなものまで様々で、かなり丁寧に描写されているのが印象に残るところであります。
 聞けば本作の作者は、劇場版の『るろうに剣心』のノベライゼーションを担当していたとのこと。恥ずかしながらそちらは未読なのですが、なるほど、と言うべきでしょうか。


 しかし本作は、ちょっとおかしなバディの、ちょっとトリビアルな明治漫遊記だけで終わる物語では、もちろんありません。何しろ虎徹は剣呑極まりない百人斬り――一見平和の世に馴染んだようでいて、作中後半で描かれるように、容易に人斬りのメンタリティに戻れる男なのですから。

 そんなキャラクターを本作の主人公にする必然性は何なのでしょうか。その手がかりの一つになるのは、本作が決して時代の陽を――輝かしい文明開化の光のみを描くものではなく、同時にその光から外れた陰の中に取り残された者・物・モノを描いた物語であるということではないでしょうか。

 そう、虎徹は(そして実は卯月も)最も文明開化とほど遠い、それどころかその対極にあった人物。その彼の目から見た時代の姿は、ある意味正面から描く以上に、よりその本質を――少なくともその本質の一つを――描き出しているように感じられます。
(ちなみに、主人公たちを助ける役回りであり、二人とは別の意味で文明開化の時代を象徴するキャラクターとして、佐藤進を配置するセンスには感心させられます)

 そしてその構図は、後半に登場する「敵」の姿と対比することによってより明確になるのですが――そのもう一人の虎徹というべき存在と対峙することによって、虎徹の中の人間性、ある意味文明と対応する部分を浮かび上がらせるのも、面白いところでしょう。


 正直な印象を申し上げれば、虎徹のキャラクターはあまりにわかりやすい、関ヶ原からタイムスリップしてきたような薩摩武士でありますし、その「敵」の「ヒャハハと笑う殺人鬼」というキャラも、非常に類型的に感じます。(ただし本作の場合、それをあえてやっている印象も強いのですが……)

 それでもなお本作は、明治を、文明開化を切り取った物語として独自の味わいを持ちます。新たな時代で生まれ変わった虎徹が何を見るのか――その先が気にならない、と言えば嘘になるでしょう。


『風銘係あやかし奇譚』(SOW マイクロマガジン社文庫)

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2018.12.11

今村翔吾『童の神』(その二) 反逆と希望の物語の果てに


 平安時代を舞台に、まつろわぬ者たち「童」の熱い反逆を描いた快作の紹介、後編であります。本作が描く、より切実で重いもの。それは……

 それは桜暁丸たちの戦いの目的、彼らの求める自由の意味が、突き詰めれば自分たちもまた人間であること、すなわち自分たちの人間性を認めさせることにほかならないということであります。

 前回のに述べたように、桜暁丸をはじめとして、本作の主人公となるのは、「童」と呼ばれ、京人から激しい差別と抑圧を受けてきた者たちであります。
 鬼や土蜘蛛が、被征服民や異民族のメタファーであるとはしばしば言われることであり、その意味では本作の趣向は珍しいものではないのかもしれませんが――しかしその彼らの視点を中心に物語を描いてみせた作品は、実は決して多くはないと感じます。

 その一方で、本作はその視点をほとんど最初から最後まで貫くことによって、彼らの置かれた状況、彼らの抱く想い、そして彼らをそのような立場に置いてきた者たちの傲慢と社会の無情を、これまでにないほど力強く浮き彫りにするのです。メタファーなどと、したり顔で言うことを恥じさせるほどに。
 そこにあるのは、人が人を差別することへの怒りであり、そして人が人として生きることへの切なる願いであり――その点において、本作は様々な「反逆」を描いた物語の中でも、極めて切実で、根源的なものを描いていると感じるのです。

 そしてその怒りと願いは、実は決して彼ら「童」たちのみのものではないことが、本作にさらなる厚みを与えています。
 童を差別してきた京人――その中でも庶民と言うべき人々もまた、より富める者、より持てる者たちに、同様に扱われる存在にほかなりません。そしてまた、童を抑圧する武士たちの中にも、彼らと同じ血を持ち――それでも生きるため、信じるもののために、彼らに対峙する道を選んだ者もいるのであります。

 善と悪で割り切れる物語ではない、悪を倒してめでたしめでたしという物語ではない――そんな物語である本作は、時に、いや多くの場面で、読者である我々にひどく苦い味わいをもたらします。

 いや、物語が大江山の酒呑童子伝説を題材としていることがわかった時点で、ある意味結末は見えてしまうのですが――しかしそれでもなお本作が我々の目を最後まで惹きつけるのは、そこに描かれている物語がどこまでも希望に満ちたものであり、そしてその希望は自分たちの中にもあるものであることを、感じさせてくれるからではないでしょうか。


 ……などという理屈を捻るまでもなく、とにかく最後の最後まで、こちらの胸を熱くさせてくれる本作。
 特に終盤の疾走感たるや尋常なものではなく――酒呑童子伝説に伝わるある言葉が、異常に格好良い形で使われるのにはもう!――純粋にエンターテイメントとしても非常に魅力的な作品であることは間違いありません。

 もっとも、そんな本作にとっての私の最大の不満は、童たちの戦いが結末で一つの終わりを迎えること――それに尽きます。
 いや何を言っているのだ、と思われるかもしれませんが、童たちが抱いた反逆の想いは、決してこの時この場所の彼らだけのものではない――それは明らかでしょう。それは人間が人間であろうとする限り、人間が人間をあきらめない限り、必ず抱く想いなのですから。

 だとすれば、童たちの戦いがここで終わってしまうはずがない。いつかまた、童たちが、童たちと同じ想いを抱いた者たちが必ず現れる――そんな「希望」を胸に、新たな「反逆」の物語の登場を期待するところであります。


『童の神』(今村翔吾 角川春樹事務所)

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