火雷天神大戦
藤原時平に追い落とされ、太宰府で無念の死を遂げた菅原道真。しかし道真は大自在天の力を借りて魔神と化し、都に災いをもたらそうとする。比叡山の座主・尊意とその弟子・良順は、不動明王の利剣の力で時平を守るが、道真の怒りは、京の庶民に向けられた。権力者・貴族のみを守るかに見える寺院に対し疑問を持ち、自分のやり方で京を守ろうとする良順は、道真に単身立ち向かうが。
本日読了。ストーリー的には魔神と化した道真公と、京を守る仏教者たちとの攻防戦で、読み始めた時は地味な印象があったのですが、さにあらず。仏天を召喚しての法力合戦は相当に派手でビジュアル的なイメージも強く(ほとんどスタンド合戦)、陰陽師の術に比べて地味な印象のある法力を印象的に描いてあり楽しめました。
しかしこの作品の真の魅力は、主人公・良順の生き様にあると言い切ってよいでしょう。庶民の苦しみを顧みようとしない権力者・貴族、そして彼らのみに力を与えるかに見える寺院に怒りと不信を抱き、自分の力で人々を救おうとしながらも自分の無力さに歯噛みする、ある意味青臭い良順の姿には、素直に共感できました。そして一度は道を誤りながらも最後に彼が見出した救いの道は、形だけ見ると理想論のようにも見えますが、そこに至るまでの彼の苦難の道程をつぶさに見ているだけに説得力があり、感動的でした(もしかすると、殊更に法力が派手に描かれていたのも、このラストのためなのかな、とも感じました)。
最後まで読んで、なるほどこの展開なればこそ、主人公は僧侶でなくてはならなかったのか、と大いに納得しました。
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