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2004.01.04

おれは清海入道

 タイトルの通り、あの三好清海入道が痛快に暴れまくる一編。ご面相はいまいちだが、怪力無双で不正を憎み、義に厚い好人物…とくればお馴染みの清海入道のキャラクター像のようですが、この作品では清海はなかなかのインテリで知恵の回る人物として描かれ、決して通り一遍の描写ではありません(その分、弟の伊佐入道がコメディリリーフの役を務めていますが)。また、清海の出自もなかなかに意外なもので、伝奇ものとしても面白いアイディアだと思います。

 しかし何よりもこの作品の楽しさは、清海らの反骨精神溢れる痛快な暴れぶり。登場するやいなや、横暴きわまりない福島正則の家中に、天狗を名乗っての大暴れ。その後も行く先々で、権力・暴力を嵩に着る連中を叩きのめしていく姿は、かの名作コミック「花の慶次」を思い起こさせましたが、ここはやはり、真田十勇士の故郷である立川文庫の反骨精神をこそ見るべきなのでしょう。また、それらの事件の数々が、単に派手で面白い、というだけでなく、例えば清海出奔のきっかけとなった高野山内の争いのように、その当時の社会背景というものをきちんと盛り込んでいるのは時代小説として大いに評価できます。
 惜しむらくは雑誌連載という形式のためか、いくつか伏線が回収されぬままに慌ただしく終幕を迎えてしまった点。物語は十勇士集結、というところで終わっていますが、その先の十勇士の活躍も見てみたいものです。


「おれは清海入道」(東郷隆 集英社文庫)

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