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2004.01.08

雲海のエルドラド

 ガス状惑星の上に浮かぶ小惑星エルドラドで賞金首ビリーを捕らえたジーン・スターウインド。しかしビリーはエルドラドの顔役マクラグレン・ファミリーの一人だった。ファミリーはエルドラドを封鎖、ジーン一行は、エルドラドの保安官事務所に転がり込み、孤立無援の戦いを繰り広げる。

 本日読了。数年前に放送されたスペオペアニメの番外編小説です(発売時に買って今まで読んでなかったよ…)。上の文章だけで西部劇ファンにはピンと来るかもしれませんが、この小説は大快作西部劇「リオ・ブラボー」が元ネタ。というかほとんどそのまんま(保安官事務所に閉じこめられた主人公に対し、悪役一派が「デグエイヨ(皆殺しの歌)」を外で奏でるシーンなんか、まんま使われてますし。まあ、「リオ・ブラボー」中最高にクるシーンの一つではあるんですが)で、いかにスペオペと西部劇が親和性が高いからといって、それはプロとしてどうなの? という気がしないでもないですが、元スペオペマニアで「アウトロースター」ファン、そして「一番好きな西部劇は?」と聞かれたら迷わず「リオ・ブラボー」と答える人間として(としても)、私はこの小説、大好きです。
 というのもこの作品、元ネタをいただきながら、物語がそれに喰われず押し潰されず、きちんと「アウトロースター」の物語として成立しているから。当たり前っちゃあ当たり前ですが、原作付き作品としてこれは非常に重要な点。そしてまた、物語の節々にきっちりとSF的ネタを絡めてきているのは、単なるイタダキから離れたものとして好印象。特に元ネタでは豪快すぎてちょっと食い足りなかったラストの決戦も、本作ではガス状惑星の「海中」での宇宙船同士の決闘という燃えるシチュエーションが用意されていて、満足しました。
 また――これはひいきの引き倒しかもしれませんが――ともすればキャラの格好良さ、物語の豪快さに目を奪われがちな「リオ・ブラボー」という作品に、ゲーム的(TVゲームじゃなくて、頭脳ゲームってこと)面白さが含まれていた、ということを確認させてくれたのは大きいですね。保安官親子のキャラをもう少し掘り下げて欲しかった気もしますが、まあOK。

 しかし、「リオ・ブラボー」については語りたいこと山ほどあるぞ。素晴らしい西部劇、泣ける西部劇、考えさせられる西部劇等々、西部劇には色々とありますが、「楽しい西部劇」といったらこれに勝るものはないと私は思っています。あまりにも主人公たちが頼もしすぎて、孤立無援の緊迫感がほとんど感じられない――特にラストのダイナマイトどんどん――のはナニですが、作品の基本コンセプトがアンチ「真昼の決闘」だからいいのかな。じじいキャラ好きとしてはひがみっぽくて脳天気なスタンピー爺さんが最高でしたし、もちろんジョン・ウェインはたくましく、アンジー・ディキンソンは艶やか(ラストはなんとも微笑ましいよな)。脚本がリィ・ブラケットというのも個人的に泣かせます。
 にしてもSF版「リオ・ブラボー」、近未来版「リオ・ブラボー」というのはありますが、時代劇版「リオ・ブラボー」は寡聞にして聞きませんなあ。もしあったら是非教えて下さい。万難廃して読みます。

 …ここ、何のサイト?


「雲海のエルドラド 星方武侠アウトロースター」(堺三保 集英社スーパーダッシュ文庫)

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