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2004.01.04

黒田・三十六計

 黒田官兵衛の生涯を描いた連作歴史コミック。単なる伝記(伝奇ならず)コミックではなく、かの三十六計を題材にしつつ、戦国乱世の中で官兵衛が、その祖父・父が知略をもって生き抜いていく姿が描かれています。その計略も常に成功するのではなく、また官兵衛も決して初めから完成された人物ではなく、時に失敗し、時に惑いながら成長していく官兵衛には、素直に感情移入できます。

 が、この作品の(俺的)魅力はそういった点にとどまらず、官兵衛以上に活き活きと魅力的な親爺キャラども。官兵衛の華々しい人生を支える、歴史上に名前の残らない無名の人物たちが、実に頼もしく、生きたキャラとして描かれているのが実に楽しいのです。その筆頭が、怪力無双の怪人・野糞垂之助(名前が残らない、というより出せんてこんな名前…)。「信玄の首を売る」という大言とともに登場し、そしてそれをはったりでなく本当にして信玄の生首を鼻歌混じりに持ってくる(しかも生首ねじ切って)という初登場時のエピソードのインパクトもさることながら、外見に似合わぬ頭の切れと時勢を見極める目、そして何よりも人としての情を持ち、偶然知り合った官兵衛とやがて強い絆で結ばれた主従となっていく姿は、(どうやって信玄の死をなかったことにするのか、そしてそうしなければならないかという展開も含めて)間違いなくこの作品の山場の一つ。というかこいつこそこの作品の影の主人公…と思っているのは私一人かもしれませんが、それだけ魅力的な人物が脇を固めているのがこの作品の強いところでは、と強引に話をまとめておしまい。


「黒田・三十六計」第1~3巻(続刊)(平田弘史 リイド社SPコミックス)

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