剣豪全史
本日読了。私が今最も期待している時代小説家の一人にして剣術ライターの牧秀彦氏による日本剣豪史…というよりも、日本史における剣豪の占める位置、歴史と剣豪がいかに接してきたかを描いた力作。
もう少し詳しく説明すれば本書は剣豪本によくある列伝形式での剣豪紹介ではなく――実際、牧氏は同じレーベルから「剣豪 その流派と名刀」という列伝形式の本を書いています――歴史の流れの中で、剣豪という存在がどのように生き、どのように変質(適合)していったかという点をじっくりと描き出したもの。いわばこれまでの列伝が歴史の中の剣豪を個々に切り出した、横軸から描いたものであるとすれば、本書は縦軸から歴史と剣豪の関わり合いを描いたものと言えるでしょう(まだまだ不勉強なのであまり大きなことは言えませんが、このような観点から描かれた本は初めて…とは言わないまでもかなり珍しいのではないでしょうか)。
剣豪が、歴史の流れといかに向かい合ってきたか、その時代時代の社会の枠組みと組み合ってきたか、そうした視点から描かれる世界のなんとダイナミックで、魅力的なことか。また剣豪という、現代の我々からすると一種超人のように思われる人々が、我々と同じく日々の時間の中で生き抜いてきたということを理解させてくれるという点も大きいでしょう。剣豪小説ファンとしてだけでなく、歴史ファンとして、非常に楽しく読むことが出来ました。
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