« 紫花玉響 暗夜鬼譚 | トップページ | 今日の小ネタ »

2004.03.15

陰流・闇仕置 悪党狩り

 生け花の宗匠として深川に暮らす花月庵蒼生こと松平蒼二郎は、父・松平定信の密命の下に政敵を斬る刺客という裏の顔があった。不思議な縁から伝説の渡世人・辰次、茶器を利用した戦闘術・武家手前の達人の澄江、豪剣を操る青年医師・丈之介と出会った蒼二郎は、仲間たちとともに、江戸の闇に巣くう許せぬ悪を斬る闇仕置きを開始する。

 「陰流・闇仕置」シリーズ第2弾。シリーズの基本フォーマットは前巻でほぼできあがっているためか、今作では安定した内容で作品世界を展開している印象。内容的には貴種流離譚+必殺と、正直に言ってしまえば非常に良くある設定ではあるのですが、キャラ設定の巧みさと、何よりも剣戟描写の確かさ・面白さで、凡百の作品に堕していないのが見事なところです。蒼二郎の必殺剣である「蜘蛛糸の太刀」も、一見理屈無用の必殺技のようでいて、きっちりと説得力ある理論が用意されているのには感心しました。
 圧巻は第2話「鞍馬流血讐剣」で、それぞれに個性的なキャラを持ち、それぞれ異なった武術を修めた敵味方の登場人物たちが、それぞれの業を展開してみせるラストのアクションシーンは、チャンバラの妙味を充分堪能させてくれました。
 主人公の立場は、言ってみれば権力の走狗である刺客人。今作ではたまたま標的が非道の悪人であったため問題はありませんでしたが、今後悪人ではない相手を斬らざるを得なくなった場合、蒼二郎は、仲間たちはどうするのか。そういった興味も含めて、今後が楽しみな上質の娯楽時代劇と申せましょう。


「陰流・闇仕置 悪党狩り」(牧秀彦 学研M文庫)


この記事に関連した本など

|

« 紫花玉響 暗夜鬼譚 | トップページ | 今日の小ネタ »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/13655/304370

この記事へのトラックバック一覧です: 陰流・闇仕置 悪党狩り:

« 紫花玉響 暗夜鬼譚 | トップページ | 今日の小ネタ »