« 髑髏城の七人(小説版) | トップページ | アイデアツリーでblog »

2004.05.12

京伝怪異帖

 駆け出し絵師の伝蔵(後の山東京伝)は、敬愛していた平賀源内が獄死したとの噂を耳にする。源内が秘蔵していたという天狗髑髏を一目みたいと忍び込んだ源内の屋敷では怪事が次々と起こる。果たして源内の死の真相とは。そして怪事の真相は(天狗髑髏)。


 山東京伝と仲間たちが、世を騒がす奇怪な事件の数々に挑むという趣向の時代連作。主人公の京伝をはじめとして、その昔馴染みの窪俊満や若き日の鶴屋南北、そして死んだはずのあの人物など、当時の江戸の小説界・演劇界の有名人たちが一同に介して、ある時は探偵役を、ある時はエクソシスト役を演じるという基本ストーリーは、まさに伝奇的興趣横溢。
 特に田沼意次絡みの幽霊騒動を鎮めるため、京伝たちが二重の幽霊騒ぎを引き起こしてみせる「生霊変化」のエピソードは、若き日の南北プロデュースの大仕掛けの面白さもさることながら、二重三重に繰り出されるドンデン返しの果ての結末が怖ろしくも哀しい佳品。また、京伝の妻に取り憑いた怨霊との対決を描いた「悪魂」は、正統派のゴーストストーリーかと思いきや、ラストでキョンシー物もかくやという大活劇に転じて、なかなか油断の出来ない作品でした。

 が…この作品、つまらないか面白いかと言えばもちろん後者なのですが、すごく面白いかと聞かれれば、答えに詰まってしまうというのが正直なところ。連作という形式のため仕方ない部分もあるのですが、話にメリハリがないというか…京伝がこういう事件に巻き込まれました。おしまい。で済ませてしまっている印象がありました。あるいは、新聞連載でなく雑誌連載であれば、もう少し違った形になったのかもしれませんが…勿体ない印象を受けました。


「京伝怪異帖」全2巻(高橋克彦 講談社文庫)


この記事に関連した本など

|

« 髑髏城の七人(小説版) | トップページ | アイデアツリーでblog »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/13655/577969

この記事へのトラックバック一覧です: 京伝怪異帖:

« 髑髏城の七人(小説版) | トップページ | アイデアツリーでblog »