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2004.07.26

勝小吉事件帖

 本所界隈に悪名を轟かせる無頼御家人、勝小吉は、暴れすぎが祟って座敷牢に閉じこめられてしまう。可愛い息子・麟太郎が生まれたばかりというのに座敷牢に入れられっぱなしの小吉は、暇を持て余すうちに子分の又四郎が聞き込んできた町の怪事件の謎を、(欲得ずくで)次々と解き明かしていく。

 風野真知雄先生の新刊は、なんと歴史上一、二を争うダメ親父として名前を轟かす快男児・勝小吉(言わずと知れた勝海舟の父)を主役にした連作捕物帳。しかも人を食ったことに、小吉は座敷牢の中で、いわゆるアームチェア・ディテクティブという趣向。勝小吉が一時期座敷牢に閉じこめられていたのは史実ですが、それを活かしてこのような捕物帳を作り上げてしまうとは、いやはや脱帽です。

 推理ものとしては、正直水準レベルではありますが、しかし、小吉が解き明かす事件や謎の数々は、この小吉の置かれた状況をうまく活かしたものばかりで、一見奇抜に見える事件も、何とはなしに説得力を持って見えてくるのが面白いところ。そして何よりも言うことなすこととにかく無茶苦茶なバイタリティの固まりで、それでいて麟太郎に対しては親バカの極みな小吉のキャラクターが非常に面白く、実に楽しく読むことが出来ました。

 個人的ベストは、さらわれた子供が、頬にダルマ髭を描かれて返されるという不可思議な幼児誘拐事件を扱った「ダルマ髭の子供たち」。小吉の親バカぶり・単なるバカぶりと、事件の背後の哀しい親の心をうまく織り込んでいて印象に残りました。続編が読みたい作品であります。


「喧嘩御家人 勝小吉事件帖」(風野真知雄 祥伝社文庫) Amazon

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