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2004.08.29

甲武信嶽伝奇

 タイトルの通り、甲武信ガ嶽に眠る武田信玄の遺金を巡って、快男児・怪盗・奸商・悪浪人が入り乱れて争奪戦を繰り広げる作品。主人公の出生の秘密、悪女の改心、怪盗のわかりやすい正体、役に立たないヒロインと、そのまま秘宝探索ものの一典型となりそうな展開で、先が読めてしまうのが難点ではありますが、さすがは胡堂先生だけあって飽きることなく読み通すことができました。特に、誰が信玄遺金の後継者であるかを巡っての町奉行を前にしての公開弁論のシーンは、なかなかに意表を突いていて、こればっかりは展開が読めませんでした。

 しかし――これはこの作品、いや伝奇ものに限りませんが――どれだけ主人公に尽くして力になろうと、美人でキャラが立っていようと、何の役にも立たないお嬢様に主人公をかっさらわれていく第二ヒロインが不憫でなりません。まあ、ウォルター・スコットの「アイヴァンホー」だってそういう展開ですが、まったくこれはどうにかならないものか、とイタい憤りを書いてみる。


「甲武信嶽伝奇」(野村胡堂 河出新書)

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コメント

小説、漫画、ゲーム、舞台と、仕事をしながら貪欲に「伝奇」を楽しむ姿勢に、うらやましさを感じながら、いつも楽しみに読ませてもらっています。
つかぬことをおききしますが、「河出新書」とあるのは大昔の版でしょうか?
わたしも、これは読んでみたいと思っているのですが、主水さんは、どうやって手に入れたのでしょう。さしつかえがなければ、教えてください。
中公文庫の「百万両五十三次」は持っているのですが。講談社の大衆文学館にも無かった気がします。

投稿: sin | 2004.08.30 23:09

過分なお褒めの言葉をいただきありがとうございます。
さて、本の奥付を見てみると、昭和31年5月15日発行第9刷となっています。出版社も新社ではなく、「河出書房」となっています。大昔ですね。
そしてどこで入手したかですが…お恥ずかしいことにど忘れしてしまいました。おそらくはフラッと出かけた新小岩辺りの古本屋で見つけて買ったものと思われます。
野村胡堂先生の作品は、平次ばかり取り上げられて、それ以外の時代作品がほとんど無視されているのが非常に残念ですね。

と、今EasySeekで見つけましたが、うーんこれはちょっと高いなあ。
http://item.easyseek.net/item/27174940/

投稿: 三田主水 | 2004.08.30 23:28

わざわざ、ご丁寧にありがとうございます。
教えていただいたサイトの値段は、多分妥当なのでしょう。以前、矢切止夫を集めていた時、小説はモノによってはこんな物でした。ですが、せっかくあつめた矢切モノを全部読む前に「作品社」から復刊されて悔しい思いをした経験から今回は見送ることにしました。今買っても、すぐには読めそうもないので。
本当に、失礼しました。
小岩の古本屋って、なが~い商店街の中にひとつ、ヨーカドー側にひとつ、ありましたよね。大昔いったことがあります。ヨーカドー側の方では未知谷の国枝史郎全集を見たのをおぼえています。

投稿: sin | 2004.09.03 00:46

矢切止夫、復刊されましたね…旧版を集めている時の復刊は嬉しいような悲しい(悔しい)ようなですね。
ヨーカドーのあるのは新小岩でなく小岩の方だと思いますが、そういえば小岩の古本屋って行ったことなかったです。今度行ってみます。新小岩は、アーケードの中程からちょっと外れたところにある古本屋が、昔ながらのたたずまいでいい感じです。
って東京マイナーな話題(^^;

投稿: 三田主水 | 2004.09.06 22:10

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