無宿狼人キバ吉 第1巻
ビデオムービー「跋扈妖怪伝 牙吉」の原作(とクレジットされていますが、むしろコミカライズに当たるのかなあ)コミック。転生無用の聖剣を携えて旅を続ける、人と魔の間に生まれた無宿人・キバ吉が、行く先々で出くわす奇怪な妖怪たちと死闘を繰り広げる様を描いた股旅ホラーです。
森野達弥氏の絵は、正直に言って「巷説百物語」のコミック版の時は「う~ん…」だったのですが、じっくり見てみるとなかなか魅力的。背景やモブがほとんどそのまま水木しげるタッチなのに対して、女性や、主人公キバ吉は(その延長線上にある)独自の艶っぽいタッチで描かれていて印象に残ります。
登場する妖怪たちも、相当にグロテスクで子供の頃に見たらトラウマ必至なのですが、そのビジュアルといい、妙に作りこまれた設定といい、ジャガーバックスあたりの捏造妖怪的な楽しさがあって、妖怪ファンにとってはなかなか楽しい(?)存在となっています。
物語としては、収録の3篇中2篇に父と子のゆがんだ関係が織り込まれているのが目を引きますが、これはキバ吉自身の出生に絡めてのものと思ってよいのでしょう。
かなりクセのある作品なので万人にお勧めできるかは微妙ですが、作者の時代劇と妖怪に対する愛情と熱意がヒシヒシと伝わってくる良作と言えましょう。同好の士は、ぜひ。
| 固定リンク





コメント