六番目の小夜子
昔っから、何で俺はこの本を今まで読んでいなかったんだろう、ああ「面白い本好き」失格だあ! と思うことがしばしばあるのですが、今回もまた思ってしまいました。恥ずかしながら手を触れたこともなかったこの本を急に読んだのは、つい先日まで寝食忘れてはまっていた某ジュヴナイル伝奇ゲームの中でこの作品のタイトルが使われていたからだったのですが、いやはや、60~70年代のジュヴナイルSFが大好物な私にとっては、本当に素敵な時間を味あわせてくれる一冊でした。
内容についてはあえてつっこんで触れませんが、かつて確かに存在し、それを通り過ぎてきたにもかかわらず、もはやこれから先、自分自身がそれに触れることは決して叶わない時間、そんな時間の一片を切り取って見せてくれた、爽やかで暖かい、そして非常に切ない物語。
もちろん描かれる世界は物語の中だけの架空の世界ではありますが、しかし、高校生以上の読者であれば、誰もが自分の高校時代と重ね合わせて、キャラクターたちの存在や、描かれる風景を現実のそれとして感じるのではないでしょうか。それだけ、物語を構成する全ての要素が――それが非現実的な・超自然的なものであれ――独特のリアリティを持って描かれていました。
物語のヒロインであり、物語の謎の中核である《転校生》津村沙世子でさえも、時に謎めいた、妖しげな顔を見せつつも、同時にごく普通の明るく元気な高校生の素顔を持つ少女として描かれており、この辺りの描き方は実にうまいと感心しました。
内容を無理にジャンル分けすれば、ホラーかミステリーになるのでしょうが、そんな区分けはもう無粋と言うべきでしょう(特に後者と捉えると、Amazonの書評のように「オチがどうこう」と哀しいことを言う人が出てくるので…)。あの屈指の名シーン、恐怖の文化祭の一幕は、そこらのホラー小説など一蹴せんばかりの迫力でありましたが。
強いて言えば、「少年ドラマシリーズ」というジャンルになるんじゃないかと思われるこの作品、この単語を聞いてピクッと反応するような人には是非ともお勧めしたい作品です。
…ぶっちゃけ、私は思いっきり心の中のノスタルジー回路を刺激されて、かなり切ない気持ちになって転がり回りましたので、三十過ぎの人は気を付けて読んだ方が良いかもしれませんが――
ちなみにこの作品、数年前にNHKでドラマ化され、今でもネット上に熱心な研究・ファンサイトがあるほどの人気を博したようで、それも非常に見てみたいなあ…と思いつつ、沙世子役が栗山千明ってのを知ってあまりのハマリ様に吹きそうになりますた。
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