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2004.10.27

お江戸は爽快

 腕っ節は滅法立つが正体不明、爽やかな男っぷりながらどこか人を食ったところのある主人公が活躍する、「若さま」もの(っていうんですかね?)の連作短編集。

 私の大好きな「若さま侍」をはじめとして、この手のキャラは時代劇のある意味定番ではありますが、この作品の若さまの面白いところはその性格。女子どもには優しいが、悪人や傲慢な相手には容赦はせず、悪党の上前をはねる…どころかゆすりたかりもお手のもの。一歩間違えればとんでもないヤツになってしまいますが、そこは名作「剣豪一心斎」(この作品はいずれ必ず採り上げます)の高橋三千綱先生、ギラつきかねないところをさらりと描いていています(というより一心斎先生をもう少し若くすると、この作品の主人公になりますな)。
 とはいえ、ストーリー自体はタイトルほど爽快ではない、むしろ陰惨なものも見受けられるのがいささか違和感と言えなくもありません。また、(ネタばれになりますが)ラストに若さまが旅立つ理由というのがヒーローとしてはちょっと…という印象があります。

 なお、この作品の若さまは、何故か「現代(二十世紀)に少年時代を過ごした記憶」を持つ不思議な一面もあるのですが、少なくともこの「お江戸は爽快」の時点では、それが物語中で「ちょっと珍しい」くらいのウェイトでしか描かれていないのも残念なところではあります。
 SF的な展開を…などというつもりは毛頭ありませんが、例えば半村良先生の「講談碑夜十郎」のように(あれはまあSFでしたが)、現代の記憶が、江戸時代においては規格外れな主人公の行動原理を正当化するような展開が見られれば面白かったのに、とは思います。

「お江戸は爽快」(高橋三千綱 双葉文庫) Amazon bk1


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