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2004.12.08

隻眼の狼王 時の剣

 死を目前とした宮本武蔵のもとを訪れた謎の剣士・無斬祭之介。武蔵は祭之介に対し、再び戦乱の世を生み出そうという柳生十兵衛との対決を依頼する。奇怪な魔物たちを操る怪老人と手を結んだ柳生十兵衛に対し、祭之介は柳生兵庫介とともに立ち向かう。

 最近の収穫その2。武蔵をも破ったという不死身の剣士・無斬祭之介を主人公にした痛快剣豪アクションであります。

 作者の赤城毅氏といえば、レトロなムードの探偵小説作家、というイメージが強かったので、こうした作品が登場したのは、最初聊か意外に感じたのですが、後書きを一読して納得。本当に、こうした世界が好きな方なのだな、と嬉しくなってしまいました。

 そんな作者によるこの作品は、作者の愛が感じられる佳品というべきものとなっており、展開は基本的に一本道ながら、その分一つ一つのシーンが(物語のスピーディーな流れを活かしつつ)しっかりと書き込まれており、最後まで退屈することなく一気に読むことができました。特にラストの対決のテンションの高さは、なかなかのものだったと思います。

 登場人物もそれぞれにキャラクターが立っており、特に今作の仇役たる柳生十兵衛は、人間離れした冷酷さを見せる魔剣士でありながら、事あるごとに「マクベス」の一節を口ずさむという独特の美学を持った人物として描かれており、単なる悪に終わらない存在感を与えられていました。
 そしてそれに対する祭之介は、「快男児」という言葉がピッタリくる豪放かつ明朗な人物として描かれており、後半で明かされるその過去の凄絶さと相まって、柳生十兵衛という大物に負けない主人公ぶりと言えましょう。

 文体的には、時代ものを意識しすぎているようなところが少々鼻につかないでもないですが、そんなことが些細なことに感じられる面白さの作品でありました。
 祭之介の更なる冒険行に期待します。(本人たちには申し訳ないですが)「時間」はまだまだたっぷりあるのですから…


「時の剣 隻眼の狼王」(赤城毅 光文社カッパ・ノベルス) Amazon bk1


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