独眼龍柔肌剣
用心棒・新免小次郎シリーズ第4作。前作で海を越え、鄭成功の用心棒として活躍するも、目潰しをくらって盲目となった小次郎。今回は、その小次郎の九州から江戸への帰路の出来事を描いています。
これまでも出し惜しみ一切無しの、とにかく面白いものは全てぶち込んでしまえ! 的なシリーズでしたが、今作ではその傾向が一層顕著で、龍の刺青を背負った謎の女忍との交情あり、新奥義の開眼あり、伊賀甲賀柳生の忍群との死闘あり、柳生の剣士との決闘ありと、盛りだくさんという言葉では足りないほどのサービスぶり。
キャラクターの方も、柳生宗冬や猿飛佐助、由比正雪といったシリーズの準レギュラー陣に加え、真田信之や黒脛巾組の束ねの謎の老人(その正体はあの…)、諏訪のご隠居御前が新登場と多士済々。信之の持つ神君御写経なる秘文書の存在もあって、伝奇性も十分。
そしてラストでは非常に切ない展開も待っていて、実に波瀾万丈の一冊、最初から最後まで退屈することなく一気に読むことができます。
が、その一方で、盛りだくさんなところ、波瀾万丈な点が、マイナスになっているところがあるようにも感じられるのは事実。展開が目まぐるしすぎて、個々のシチュエーションに余韻があまり感じられないのが残念なところであります(特に人の生き死にについては、もう少し引っ張ってもいいのではないかな、という気もします。これはあえてこう描写している感もありますが)。
一冊の長編というよりは連作短編集という気持ちで読んだ方がいいのかな、という気もします。
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