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2005.02.15

写楽仕置帳

 御膳役一条惣太郎探索控シリーズの第2弾。前作とはガラッと趣を変え、江戸のアンダーグラウンドを舞台としての痛快な一大伝奇活劇となっています。
 キャラクターも、前作からの続投はわずかで、新顔の、しかし頼もしい連中がぞろぞろと登場してきます。

 今回の敵は、江戸を騒がす謎の凶盗団・写楽党。
 写楽と言えば、真っ先に頭に浮かぶのはあの東洲斎写楽ですが、何故その写楽が盗賊と結びつくのか? そもそも写楽とは何者だったのか? というのが今作の主眼であり趣向。

 そして惣太とともにそれに立ち向かうのが、その東洲斎写楽を売り出した地本問屋(出版社)の蔦屋に集う文人たち――十返舎一九、山東京伝、喜多川歌麿などなど――というのが面白い。そしてそのそれぞれが、自分の特技・裏技を活かして活躍するというのがまた痛快(私は、「正規軍が役に立たない状況で、アウトローたちが大活躍するというシチュエーションが非常に好きなので、今作は猛烈にツボにヒットしました)。
 特に十返舎一九のキャラクターは、伝奇的にもエンターテイメント的にも面白く、こりゃスピンオフして一九が主役のシリーズが作れるんじゃないかしらんとすら思いました。
 これだけ脇役が濃い面子だと、主役が喰われかねないのですが、惣太には他のキャラクターにはない「料理」という武器があります。今作でもその本当に旨そうな料理は健在で、なかなかに印象的でありました。

 しかしそれにも増して面白く、かつうれしいのは、東洲斎写楽の正体と目的、そしてその背後にあるであろう作者の想いでした。詳しくはここでは書きませんが、この作品で示される写楽の正体と目的は、伝奇的に面白いのはもちろんのこと、それ以上に作者の小説家としての矜持・使命感が込められているように感じられたことです。

 はっきり言っておすすめですよ、この作品。


「写楽仕置帳」(えとう乱星 コスミック時代文庫) Amazon bk1


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コメント

 通勤途中の電車内で読み始め、降車すべき駅に
気づかず、うっかり、乗り越してしまいました。

 こういう「娯楽本」で、その位読み手をのめり
込ませれば、天晴れ天晴れでありましょう。

 「文人というより『武ん人』じゃないの?」と
思わせる武闘派出版社の面子がかっこよかったで
すねぇ。「御膳役一条惣太郎探索控シリーズ」が
続くのであれば、ちょくちょくと登場して欲しい
ものです。

 ではでは

投稿: ちゅるふ | 2005.02.19 19:34

とにかくね、十返舎一九が技といい決め台詞といい格好良すぎでしたね。十返舎一九史上に残る名キャラクターだったと思います。

本当にこの一作で解散するのが惜しい勇士の面々だったと思います。

投稿: 三田主水 | 2005.02.21 00:09

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