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2005.03.21

「必殺仕置長屋」第1巻

 江戸の賞金稼ぎが巣くう悪所、人呼んで仕置長屋。表向きはあってはならぬその長屋の賞金稼ぎたち――仕掛け蝶々の市太郎、絞り屋の岩鉄、知恵の輪のお京――、そして長屋の番所詰めの昼行灯こと鈴木主膳は、法で裁けぬ悪党どもを闇で裁いて仕置きする仕置人という裏の顔を持っていた。仕置は今夜!!

 長らく必殺ファンの間では幻の作品となっていたものの、昨年めでたく「コミック時代活劇」誌で復活した作品が単行本(といってもコンビニ売りのアレですが…)化。
 漫画というメディアでありながら必殺シリーズ第31作目と称されるオフィシャル作品、そして何よりも原作が必殺界でその名を知られる山田誠二氏だけあって、必殺もののフォーマットは押さえつつも、後期必殺で見られたのルーチンワークに留まることなく、この作品ならではの――そして「必殺」に留まらず70年代TV時代劇的な――味わい・深みが感じられます。特に、一つの仕置が新たな惨劇の幕開けとなる第5話「惚れて貫く仕置の掟」は名作(後味は悪いですが)。
 キャラクター的には、やはり仕置人たちの元締め、昼行灯の鈴木主膳が非常に面白い存在。長屋の番所詰めという奉行所に席のないどん尻のお役目で、家に帰ればお家の過去の栄光を思う母に泣かれるという冴えない人物ながら、実は剣の達人でダーティプレイもお手の物(強敵を仕留めるために、相手の赤ん坊を懐に入れて対峙するという最高ぶり)という男。しかも「三年前から行方知れずの中村主水」が親戚というとんでもないおまけつきであります。

 が…上に挙げたこの作品の長所が、そのまま裏返すと短所になっているのも正直なところ。
 キャラで言えば、鈴木主膳の個性に他のキャラが完全に喰われているのが現状。特に、仕置人たちは表の顔の一つとして賞金稼ぎをなりわいとしているのですが、これが仕置人とあんまり区別がつかず(もちろん作中で完全に別物と説明されているのですが、やっぱりすっきりしない)、「表であんなことをしている人が裏に回れば実は…」という必殺ものの魅力の一つが大いに減じられているのが残念に感じられます。
 ストーリーの方も、設定・展開に盛り込みすぎ、ひねりすぎのきらいがあり、却って仕置のカタルシスが減じられているのも痛い。

 「必殺シリーズという看板」「この作品(作者)ならではの独自性」「マニア以外も読む時代劇劇画」という、相反する(こともある)要素を同時に成立させることの難しさというものを感じた次第であります。

 よろしければお願いします


「必殺仕置長屋 1 命が的の裏稼業編」(木村和夫&山田誠二 SHUEISHA JUMP REMIX) Amazon

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