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2005.04.04

勝敗一瞬記

 「塚原卜伝の耳」「伊藤一刀斎の爪」「荒木又右衛門の指」「武蔵羅切」「近藤勇の首」「坂本龍馬の眉間」「沖田総司の貌」と、史上著名な剣豪の身体部位をタイトルとした剣豪小説集。(ちなみに同じ作者の同様の趣向の作品集としては、「柳生殺法帳」があります)

 さすがに柴田錬三郎の「弟子」だけあり(この作品集のタイトルも柴練先生の案によるとか)、短いページ数の中で、意外性に富んだ展開と、剣客同士の一瞬の死闘が巧みに盛り込まれていて、飽きることがありませんでした。
 新宮先生の作品は、(個人的な印象ですが)基本的にかなりシビアで重たい作風であって、それが長編の場合、読んでいてかなりきつく感じることもあるのですが、短編の場合には、それが適度に物語を引き締めていて、良い方向に働いていると感じます。

 個人的に一番面白かったのは、沖田総司の死の背後に、驚くべき人物のおぞましい意図の存在を仄めかす「沖田総司の貌」。総司の死の真相だけでなく、有名のあの末期の言葉に隠されたものの解釈も「なるほど!」と思わされるものがあり、剣豪作家・伝奇作家としての新宮先生の凄みを感じました。


 しかし、「武蔵羅切」である人物から深手を負わされた宮本武蔵が、その後、阪神タイガースのピンチヒッターとして江川と対決するとは(本当、本当だって! 詳しくは「ピンチヒッター・武蔵」「武蔵を仆した男」所収)をご覧下さい)、全く(新宮先生の奇想は)油断ができません。

 よろしければお願いします


「勝敗一瞬記」(新宮正春 集英社文庫) Amazon bk1


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