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2005.05.16

歴史を変えたかもしれない雑兵のこと

 このblog右横の「今日は何の日」を眺めていたら、5月16日は鳥居強右衛門が磔になった日でありました(まあ、本当は旧暦5月16日なのですがここは便宜上ということで)。
 歴史ファン、戦国ファン、長篠近辺の住民の方の間ではつとに有名なこの人物ですが、一般の方にとってはあまり馴染みのない人物かと思いますので、簡単に説明します。

 この人物は、家康の配下で長篠城主の奥平信昌の家臣(…というと格好良いですが要するに足軽)。天正3年に武田勝頼の軍勢が長篠城を包囲し、長篠城は苦戦、籠城を余儀なくされます。
 状況を打開するためには、重囲を脱して誰かが援兵を請わなければならない。その時に使者役として立ったのがこの強右衛門。苦心惨憺の末、城を脱出した強右衛門は岡崎に辿り着き、家康と信長に窮状を訴え、援軍が出されることとなります。
 この吉報を一刻も早く城内に伝えたいと一人長篠城へ戻ろうとした強右衛門は、しかし、武田軍に捕らわれてしまいます。
 城に向かって、援軍は来ないと言えば命は助けてやる、褒美もやろうともちかけられる強右衛門。そして城門前に連れてこられた強右衛門が叫んだのは…もうすぐ家康・信長の援軍がやってくるという言葉でした。
 激怒した武田方の手により、強右衛門は城の皆の前で処刑されますが、長篠勢は援軍到着まで持ちこたえ、その結果「長篠の戦い」において織田・徳川連合軍の前に武田軍は惨敗、急速に力を衰えさせることとなった…というお話。

 私ゃひねくれ者で美談の類を聞くとついつい疑ってしまう一方で、男泣き系の話が大好きなもので、このあたかも平田弘史先生の劇画のキャラクターのような強烈な鳥居強右衛門のエピソードにはついついグッと来てしまうのです。

 ただ、これは個人的な想像ですが、強右衛門の頭には奥平貞昌への忠義、つまり武士としての感情と同じかそれ以上に、城に籠城している「仲間」たちとの信義、表現は難しいですが身分とかそういうものを抜きにした人間としての感情があったのではないかなあ、という気もします。もちろん勝手な想像に過ぎないんですがね。
 ぶっちゃけ、別に主君のためだけに命をかけたわけじゃないんじゃないの、という気がするし、そっちの方がドラマになるよね、とかいうと真面目な人からは怒られるでしょうか。

 そしてまた一歩引いた目で見てみれば、仮にここで強右衛門が援軍の到着を叫ばなければ、長篠城は持ちこたえられずに落城し、結果長篠で武田軍と織田・徳川連合軍の合戦は起きなかったかもしれず、少なくともその場で武田家滅亡に繋がることとなった大敗を勝頼が喫することなく、信長の先見性と鉄砲の圧倒的な威力を知らしめることもなく、その後の歴史の在り方も、結果としては余り変わらないだろうとは思いますが、なにがしかの変化が生じたやもしれません。
 もちろんこれはあくまでも仮の話、ここで架空戦記の世界に入っても困りますが、鳥居強右衛門という一人の雑兵の存在が、その後の歴史の在り方に影響を与えたかもしれないということは、その強右衛門の業績と同じくらい痛快なことに感じられます。

 私がこの強右衛門氏のことを知ったのは結構最近で、森秀樹の「ムカデ戦旗」で初めて知ったのですが、やはりこれだけ印象的な人物はフィクションの世界でも格好の題材となるようで、例えばかの八切止夫先生が小説現代の新人賞を取った「寸法武者」は強右衛門氏の話ですし(ということは強右衛門がいなかったら八切意外史もなかったのか…!)、池波正太郎は特に気に入っていたのか、幾つかの作品で主役あるいは脇役として起用していますな。

 ちなみに強右衛門の姿は後世の人間だけでなく、当時の敵方の人間にも感銘を与えたらしく、武田方の落合左平治が磔姿を旗印にして家宝にしたというお話もあり、それが現代まで伝わって、今ではこんなアイテム(商売に勝つ、ねえ…)も生まれているのは、これも歴史というものの一つの面白さかもしれません。

 まあ、色々調べてみると「春秋左氏伝」の中で宋が楚に攻められた時の話で、これとそっくりのエピソードがあるみたいなんですが、その辺りの突っ込みはやめておきます。

 ちなみに強右衛門は関の孫六を持っていたという話もあり、そんな刀を雑兵が持っているものかなあと思いつつも伝奇的には面白いので私的にはアリ。
 あと、日露戦争の時期に全国の小学校に桜の木が植えられたのはこの人の影響とか、元慶應義塾塾長で中教審のトップで教育基本法改正に邁進していた鳥居泰彦氏はこの人の裔という説もありますがこっちはどうでもいいや。


 と、言うわけで鳥居強右衛門さんの話でした。

 …最後に白状すると、私しばらくこの方の名前は「ごうえもん」だと思ってました…(本当は「すねえもん」。スネえもんと書くと平田弘史から一気に藤子不二雄になってしまいますがな)。

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コメント

はじめまして。 鳥居強右衛門をキーワードに辿り付いた者です。
仰る通り、強右衛門独りの力が、歴史与えた影響は実に大きいものなのかもしれませんね。 正に、一寸の虫にも五分の魂ってところで、痛快ですね。
リンク先の強右衛門Tシャツ、見て仰け反りましたです。(笑) それにしても、逆さ吊りだったは・・・
勝手ながら、TBさせて頂きました。 よろしくお願い致します。

投稿: もとよし | 2005.07.28 22:36

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