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2005.06.03

カムナガラ外伝

オンライン書店ビーケーワン:カムナガラ 0
 「ヤングキングアワーズ」誌に連載中の伝奇コミック「カムナガラ」の外伝が収録されたこの一冊。アワーズの増刊に掲載された「カムナガラ前史」全四話と、本編で主人公と共に戦う剣豪巨乳女教師(と書くと別の漫画のキャラみたいだ)鳴神遥日の学生時代を描いた一編が収録されています。

 「カムナガラ前史」の舞台は大正時代、関東大震災直後の東京となっています。人々の心を封じ、それを統治の力とする天能御柱。大震災により御柱が損傷したことにより現れた「さとがえり」の亡者を封じるために帝都で戦う剣の一族だが、その背後では軍部と宮内省によるある計画が、そしてさとがえりたちによる陰謀の影が…というわけで、暗澹たる世相の中で、非常に暗澹たる物語が繰り広げられます。
 特にかなりゆるやかにと丁寧に描かれている本編と比べると、いささか物語の展開が早すぎるように感じられる部分もあり、(たとえば青年巡査・皆川と剣の一族の少女・朔弥の交流のくだりなど)もう少しじっくり描いた方が、結末部分で剣の一族に――そして日本という国に――降りかかる悲劇がより印象的になったような気もしますが、それは贅沢というものでしょう。
 単体の伝奇物語として見た場合でも、天能御柱を巡る陸軍と宮内省の計画はなかなか面白いものがありますし、両者を結びつけ、その計画を推進するのが大川周明というのも、伝奇心をそそります。
 もちろん「カムナガラ」という物語の前史としても、なぜ剣の一族が現代にはごくわずかしか生き残っていないのか、かつての宮内省鎮守職天野家が引きずる怨念とは、などとバックグラウンドのより詳しい解説となっているのが嬉しいところです(ちなみにカバーを外すと前史と本編の人物対比表があって非常に親切です)。

 もう一編の外伝「10YEARS」は、伝奇色0の、いい意味での痛々しいも切ない青春もの。単体で、知らない人が読んだら「カムナガラ」外伝とは全く気づかない作品だと思いますが、こういった方向性の青春ものを描かせたら絶品の作者だけあって、印象的な作品となっていました。
 本編ももう少しで完結だと思いますが、鳴神先生には幸せになってもらいたいですなあ…(無理)。


「カムナガラ外伝」(やまむらはじめ 少年画報社YKコミックス) Amazon bk1

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