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2005.07.10

甦る八犬伝の世界 「八犬士」第1巻

 岡村賢二先生による「南総里見八犬伝」のコミカライズ第1巻。
 岡村先生は現在「コミック乱ツインズ」で笹沢左保原作の「真田十勇士」を連載しており、原作の世界を巧みにビジュアライズしていて好印象なのですが、この「八犬士」も、滝沢馬琴の「南総里見八犬伝」を――劇画として成立させるための脚色を適度に盛り込みつつも――違和感なく劇画として成立させていて、面白く読むことができました。

 岡村作品は、いつも登場人物のリキの入った表情が強く印象に残るのですが、この作品ももちろんその期待に背くことなく、若武者ぶりが凛々しい信乃、可憐な浜路、トラウマになりそうな邪悪さの玉梓、一目でクソ野郎ぶりが伝わってくる蟇六・亀篠夫婦と、こちらの頭にあるキャラクターのイメージを崩すことなく、生き生きとした絵でもって描かれています。
 そのキャラクター描写の中でも、特に印象に残るのは、伏姫の美しさ。凛々しさと艶やかさ、そして力強さを感じさせるキャラクター描写で描かれる伏姫の姿は実に見事で、特に第七話の扉絵の姿は、神女と評するのがふさわしいでしょう。

 なお、この作品では冒頭から犬塚信乃と犬川荘助が登場して村雨丸の物語が描かれますが、原作では発端として冒頭に置かれていた里見家と玉梓の因縁、伏姫と八房の物語は、途中、丶大法師が信乃と荘助に過去のエピソードとして物語るという形で描かれています。連載漫画としては、なかなかうまいアレンジといえるのではないでしょうか。

 さて、この第1巻で描かれるのは、浜路が簸上宮六(しかし宮六の顔が怖いです。怖すぎます)に目を付けられるところまでで、まだ序盤といったところ。八犬伝の物語はまだまだこれから先、長く長く続くわけですが、この「八犬士」がその全てを描ききることを期待して待ちたいと思います。残る八犬士や物語を彩る美女(特に悪女)たちがどのように描かれるか、想像しただけで胸躍るものがあります。


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  (「八犬士」①② 岡村賢二著 ニチブンコミックス) 「八犬伝」ではなくて、「八犬士」なのですね。 地元で探したけどやっぱり取り扱い無かったので、アマゾンで発注。 今月発売の②巻も同時に届いてラッキー。 「劇画コミックス」と書いてあったので「ゴルゴ13」とか「弐十手物語」とか そんな感じかと思って覚悟していたのですが、それほど濃ゆくも無く。 「孔雀王」とか「北斗の拳」とか、女性でも大�... [続きを読む]

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