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2005.07.09

作者渾身の時代伝奇 「鬼神新選III 東京篇」

オンライン書店ビーケーワン:鬼神新選 3
 待ちに待った「鬼神新選」の新刊が遂に発売。もちろん速攻で読了しました。
 何を書いてもネタバレになりかねず、突っ込んだことはあまり書けませんが、土方側には新たな新撰組隊士が加わるわ(ヒント:死んでません)、シスター・アンジュの背後には意外な人物がいるわ、新八と袂を分かった篝炎の前には意外な強敵(調べてみたらちゃんと実在の人物でまた驚き)が現れるわ、斎藤一は実においしいキャラだわ、近藤勇が大変なことになっているわ(すげえ。すげえよ近藤さん)と、面白すぎるキャラクター・ガジェットが山盛りであります。

 何の遠慮もなしに、自分が面白いと思う題材をひたすら叩き込んだ、作者渾身の時代伝奇小説、と言ってよいのではないでしょうか。

 それにしてもこの作品、まだ現時点でこのようなことを言うのは早計かもしれませんが、この物語は、近藤・土方ら死から甦った者たちは言うに及ばず、新八をはじめとする、未だ幕末に――江戸という時代にとらわれている者たちにとっても、再生の物語となるのではないか、という印象があります。
 そしてこの巻で繰り返し現れた「友」という言葉が、この先物語の中でどのような意味を持つようになるのか、それも楽しみであります。

 と、その一方で、作者自身も明言しているように、いささか分量が少ないことと、刊行ペースが遅いことはやはり非常に残念。せめて、一巻の分量はこれくらいでもよいですから、刊行ペースをもう少し早めていただけないかなあ…というのが心からの願いです。

 ちなみにこの巻には、本編に加えて池田屋騒動秘話とも言うべき番外短編「Soldier-blue」も収録。奥沢栄助(と聞いて一発でわかる人はなかなかだと思います)をメインキャラに持ってきたこの作品、伝奇抜きの新選組ものとして見れば水準作という印象。
 そしてまた、本編の方でのあのキャラのやろうとしていることは裏返しになっていたのか、と気づくことができ、この巻に収録された意味もきちんとあるのだな、と感心しました。


 読了直後のテンションであれこれ書いたため、実にまとまりのない文章ではありますが、時代伝奇小説ファンであれば、読んでおいて損はないですよ(ライトノベルだから…と手をこまねいているのは勿体ないですよ)、というのが正直な感想であります。


「鬼神新選III 東京篇」(出海まこと 電撃文庫) Amazon bk1


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