金庸健在なり 「射雕英雄伝」第1巻
中国の大伝奇作家・金庸が元勃興時の中国を舞台に描く伝奇活劇「射雕英雄伝」(「雕」は正しくは「周+鳥」)の第1巻。内容的にはまだ導入部といった部分なのでしょうが、さすがは金庸というべき内容となっていました。
憂国の士であった父を金兵に殺された少年郭靖(梁山泊の豪傑・郭盛の子孫という設定。何であんなマイナーキャラの子孫が…)は、江南七怪と呼ばれる七人の豪傑に武術を教え込まれ、チンギス・ハンのもとで成長していきます。が、実は江南七怪が郭靖に武術を教えたのは、かつて彼らと対立した武術家・丘処機との約束によるもの。丘処機は、郭靖の父と共に殺された親友の子を弟子としており、師匠たちの諍いを、弟子二人の武術試合で決着をつけようとしていたのでした(この辺り、素晴らしく金庸的展開)。そして約束の試合のためモンゴルを旅立った郭靖ですが、早速事件に巻き込まれて…というのが一巻までの内容。
要約してもややこしい設定・展開ですが、実際にはこれに様々な好漢・怪人たち、そして様々なエピソードが物語を彩っており、さらに複雑な内容。果たして物語の落としどころが那辺になるのか、現時点ではさっぱりわからないのですが、しかしそれでももどかしさやつまらなさを全く感じさせず、ただただ物語に引き込まれてしまうのは、まさに金庸の面目躍如といったところ。
因縁と因果、偶然と誤解が登場人物と物語を動かしていく金庸節には好き嫌いは分かれるかもしれませんが、私は大いに楽しめましたし、続巻が非常に楽しみです。
金庸作品は、単行本では全て刊行されておりますし、この作品もその中でだいぶ以前に刊行されているので、「健在」という表現は変なのですが、私自身は実に久しぶりに(「秘曲笑傲江湖」以来)触れた金庸作品であり、そしてその面白さは相変わらずであったため、あえて「健在」という語を使わせていただく次第。
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