そして怨讐の果てに 「陰流・闇仕置 怨讐狩り」

サルベージシリーズ。ついに「陰流・闇仕置」シリーズも最終巻です。シリーズを通しての謎だった蒼二郎の母殺しの犯人が明らかになりますが、その仇は蒼二郎にとって縁深い人物。そしてその背後には父であり自分を暗殺者として指嗾していた松平定信の陰が――更に、火付盗賊改長官の探索の手も蒼二郎に迫り、ラストにふさわしい(?)四面楚歌の状況であります。
正直なところ、母殺しの犯人は、この人物以外いないだろうという人物ではありますし、火盗改との戦いも、もう少し引っぱって欲しかった(まさか登場した次の巻でシリーズ完結とは思いませんでした)という印象はありますが、蒼二郎がこれまで死闘の中で編み出した数々の奥義をあっさりと破る真の敵との対決シーンは、さすがの迫力でした。
そして何よりも、松平定信のキャラクターが、それが単なる悪のための悪ではなく、一つの強固な――そして歪んだ――信念を持った人物として鬼気迫る姿で描かれており、非常に印象的でした。このような人物として描かれているからこそ、その父に対して激しく怒りを燃やす蒼二郎の想いが、納得できるものとして読者である我々にも伝わってきます。
母の仇との死闘、そして苦い勝利を経て、ついに父との対決を決意する蒼二郎。闇仕置の仲間たちに別れを告げ、ただ一人、どこまでも修羅と化して進む彼の姿は――それが新生のためのものであっても――あまりに切なく、胸に迫ります。
このシリーズはここでひとまずの完結のようですが、いつか、いつの日か、怨讐を越えて生まれ変わった蒼二郎に再会できる日が来ることを祈っている次第です。
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