「BEHIND MASTER」第6巻 血塗られた手が掴んだもの
人ならぬ不思議な力を持つ少年・佐助を主人公とした時代ファンタジーの待望の続巻…というか最終巻。
清海、鎌之介と共に遂に九度山の幸村のもとに向かうこととなった佐助ですが、時既に遅く宿敵・裏伊賀の手で九度山は壊滅、幸村は配下の命を救うため自ら敵に囚われることに、という展開。
新たな仲間、符術使いの望月六郎(美女)と共に敵の本拠と言うべき駿府城に向かう佐助・鎌之介・六郎ですが、その前に次々と裏伊賀の魔人たちが立ち塞がる、という盛り上がる展開。
その一方で、服部半蔵の腹心にして弟分だった霧隠才蔵が、裏伊賀により変質していく半蔵に強い違和感を感じると同時に、敵である佐助に強く惹かれていくというシーンがあり、初登場時は一体どうすれば味方になるんだ、的キャラとして描かれていた才蔵も、なるほどこういう展開で仲間になっていくのかな、と感心していたのですが…ですが…
何とも残念なことに、駿河城から幸村を救い出して佐助が己のあるべき場所を見出し、そして真の、いずれ戦うべき敵と対面したところで作品は幕、ということになってしまいました。
上記の通り、キャラクター、ストーリーともに盛り上がる要素ばかりで、いよいよこれからが本当の戦いか!? と思っていたら、「本当の戦いはこれからだ!」的結び(要するに打ち切りEND)になってしまったのは本当に口惜しいことです。
もっとも、本来であれば自分と同様の存在=人ならぬ力を持つ者たちである裏伊賀と戦う中で、自分の行くべき道を見失い、血塗られた自分の手に絶望した佐助が、幸村の導きにより、その手で掴んだもののもう一つの意味に気づくという終盤の展開は、佐助の魂の遍歴に対する一つの答えであり、文芸的にもエンターテイメント的にも実に美しいもの。
これはこれで、見事な決着であり、ラストに虚脱感よりも爽快感と希望を感じるのも、この点によるものなのでしょう。
とはいえ、物語にまだ解答のない謎が多いのも事実。
裏伊賀の真の狙いは何か。果心居士と佐助の因縁は。幸村は佐助の何を知るのか。そして何よりも、「サスケ」とは「何」なのか。
作者の「ひとまず」完結、という言葉に希望をつなぎつつ、続編を心から待つ次第です。
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