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2005.11.05

「シュヴァリエ」第1巻 たまには洋風伝奇活劇を


 「マガジンZ」誌で連載中の血みどろゴシック伝奇ヒーロー活劇の第1巻であります。
 お恥ずかしいことに、作品の存在は知りながら特に今までチェックしていなかったのですが、Death and The Maidenの伯爵様が紹介されているのを拝見して読みたくなり、読んでみたらこれがまた実に私好みの作品でした。

 舞台は1753年のパリ――次々と乙女を殺害し、その血で詩を書き記す「詩人」たち。奇怪な能力に目覚め、怪物にすら変化する彼ら詩人を討ち、詩を封印していくのは、トートの秘力を操る女騎士(シュヴァリエ)・スフィンクス。そしてその正体は、表の顔はパリ市警の昼行灯、裏の顔はルイ15世直属の<王の機密局>の騎士たる青年デオン・ド・ボーモン…
 いい、実にいい設定です。そしてそこに詩人が現場に残す「PALMSS」の文字の謎が加わり、さらに詩人たちの詩が示すものが――「革命」と来れば、もうたまりません(ちなみにフランス革命は1789年)。

 詩に則り現体制を崩壊させんとする魔と、それを狩る異能者との戦いというシチュエーションは、同じ原作者で現在進行中の「ピルグリム・イェーガー」も、時代こそ違え共通ですが(物語中、「かつて予言によって崩壊寸前にまで陥ったのがローマ・カトリック教会」という台詞があってニヤリとさせられました)、あちらが群像劇、大河伝奇の色彩が強いのに比べて、こちらはヒーロー活劇のフォーマットで展開している印象が強く、その辺りの差別化はなかなかうまいものだと感じます。
 というよりも、二つの顔を持つ青年騎士、王のために活躍する謎の騎士というモチーフ自体、洋風伝奇活劇を感じさせるもので、衒学的ヴェールと血みどろのデコレーションの下から覗くのは、大デュマやウォルター・スコット等々(一括りにするのは乱暴かもしれませんが)、古き良き大ロマンス作家たちへのリスペクトのようにも思えます。

 時間がなくて和風の方にしか手が回っていませんが、洋風伝奇も大好物の小生としては、非常に先が楽しみな作品であります。
 なおこの作品、誌で前史にあたる小説版が掲載されているとのことで…うわ、こちらも楽しみです。


 …ちなみに、フランス革命と言えばいやでも思い出すのは「ナポレオン 獅子の時代」ですが、今月号を読んだらクートンの有り得ないほどの益荒男っぷりに吹きました。ある意味男の夢です。


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