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2005.11.15

「陰流・闇仕置 隠密狩り 松平蒼二郎始末帳」(再録)


 タイトルからもわかるとおり、松平の血を引く主人公が、陰流の剣を振るって悪人を闇で仕置きしたり隠密を狩ったりする作品(身も蓋もない)…というわけで、剣豪小説だった学研M文庫での前2作とはうって変わって大衆娯楽時代小説路線まっしぐらなのですが、これがつまらないかといえばとんでもない。
 これまでの作品でも冴え渡っていた剣戟描写は、リアルさとけれん味を兼ね備えた絶妙の味わいで、登場する様々な流派、様々な武器の特徴・特性を生かしたアクション描写には唸らされます。

 登場キャラクターたちも、主人公のほか、伝説と恐れられながらも今は引退して船頭をしている腕利きの渡世人(天明の打ち壊しでの大暴れを買われて裏の世界に入ったという設定がうまい)、茶器を利用した戦闘術である武家手前を操る美女、武士にコンプレックスを持つ農民出身の青年医師、勤番フェチの売れっ子芸者など、どこかで見たようでいて、どこでも見たことのない一癖ある連中で、キャラ配置(キャラの相互関係)も物語を面白くするのに一役買っています。
 もちろんほめるべき点ばかりではなく、序盤の展開がいささかぎこちないことや、江戸時代の事物等についての説明が些か過剰なことなど(特に後者は物語のテンポというものをかなり削いでしまっているのが問題)、残念な部分もあるのですが、そうした部分も小説家としてのスキルの積み重ねによって解決していくことでしょう。まだまだ物語は開幕篇、解決されていない謎も多く、これからのシリーズ展開に大いに期待します。


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