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2005.11.09

「柴錬水滸伝 われら梁山泊の好漢」 柴錬と水滸伝の化学反応は


 少し前に集英社文庫から再刊されたこの作品、以前は講談社から文庫化されていたかと思いましたが、今回は水滸伝絵師としては当代随一の正子公也先生のイラスト(といっても旧作のコラージュですが)で飾られています。
 柴錬作品も、水滸伝も大好物の私ですが、恥ずかしながらこの作品を読んだのは今回が初めて。期待に胸膨らませて手に取りましたが…

 正直に言って、「あれ?」という印象でありました。共に「無頼」を旨とする柴錬作品と水滸伝、これは噛み合えば素晴らしく胸躍る作品になるに違いない! と思ったのですが…何だか噛み合わなかったみたい。
 もちろん柴錬先生の手になるものだけに、つまらないか、と言われれば違うのですが、良くも悪くも原典に忠実に、淡々と物語が描かれていくといいますか…きつい言い方をすれば本筋を追っているだけ、という印象が強いのです。

 まあ、一見取っつき易そうに見えて、書き手にとってはそうでもないらしい「水滸伝」、本筋だけで――というのは、別にこの作品に限らず、相当の大家も含まれる他の作家による「水滸伝」にもしばしば見かける、というかぶっちゃけほとんどの「水滸伝」がそうなわけで、柴錬先生が特別というわけではないのですが、上記の通り両者のファンとしては、この両者ならではの化学反応に期待していたわけで…いや何とも勿体ない、としかいいようがありません。

 これは質の悪い読者の勝手な想像なのですが、その作品の中で、そして実生活の中でもやくざ者の言う「任侠」というものを嘲笑って憚るところのなかった柴錬先生、まさにやくざ連中が「任侠」はおろか「忠義」まで持ち出しちゃう「水滸伝」に、どうにも乗れなかったのでは…とも思ってしまったのでした。

 と、そんな中で、一カ所、もンのすごく柴錬臭を感じたシーンがありました。それは梁山泊随一の美女・一丈青扈三娘が、宋江の仲立ちで、短足ブ男の矮脚虎王英と結婚するシーン。
 このシーン、現代の日本人の感覚からすると相当違和感があるシーンで、日本人の手になる各「水滸伝」の中では、皆それぞれに納得いくようにアレンジされているシーンなのですが…この作品で扈三娘が王英に向かって言うセリフが凄かった。
 柴錬だ! 柴錬キャラならこう言うよ! と言いたくなってしまう強烈な印象で、他の「水滸伝」に比して、このシーンに限って言えば説得力はこの作品がナンバルワンと言える気がします。北方水滸伝も目じゃねえぜ。


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