「私のこだわり人物伝・山田風太郎」第1回 ファンもマニアも必見!
すでにご存じの方も多いと思いますが、NHK教育テレビの「私のこだわり人物伝」という番組で、今週の火曜日から山田風太郎が取り上げられています。様々なジャンルの方が、それぞれ自分にとって多大な影響を与えた/大いに興味をそそる人物について語るこの番組、山風を語るのは仏文学者の鹿島茂氏。なかなか意外な取り合わせであります。
もちろん私も大いに楽しみにしていたこの番組ですが、第1回を見たところ、思っていた以上に充実した内容でした。
全4回の第1回ということで、序論という趣もありましたが、ネガとポジの関係と称される司馬遼太郎との比較を通して、山風の大ウソと司馬遼太郎の小ウソを浮き彫りにし、山風(と司馬遼太郎)の小説の本質、さらには小説というものの本質まで迫っていくのはなかなかに興味深いものがありました(司馬先生の小ウソはありゃ単なるミスじゃないか、という気もして、ちょっと野暮な話と思わなくもないですが、まあそれはいいとして)。
何よりも、鹿島氏が冒頭で語る、(山風作品の)大ウソの中に真実がある、大ウソだからこそ描き出せる人間の真実がある、という主張は、山風作品に限らず伝奇小説(なかんずく伝奇時代小説)の本質を指す言葉であって、大いにうなづけるものがありました。
と、真面目に見ても非常に楽しく興味深い番組なのですが、山風ファンにとっては、また別の方向でも色々と楽しかった第1回。何せ、山風作品の紹介ということで、現在書店に並んでいるちくま文庫版のみならず、懐かしの佐伯俊夫先生による角川文庫版忍法帖の表紙が映し出されたりして、驚かされました。
しかも、この角川文庫版の忍法帖、よりによって変更前のえらくナニな表紙の「くノ一忍法帖」が映し出されたりして、この歳になって親と一緒にTV見ていて気まずくなることがあるとは思いませんでしたよ<つうか一緒に見るな
その他、山風の短編集の目次が映されるところでなぜか伝説の「うんこ殺人」の題名が長く映されたり、初期作品の紹介で「陰茎人」が採り上げられるなど、もうやりたい放題。昔から好きですが、やっぱり好きだNHK教育。
そもそも、上記の山風ー司馬遼比較で採り上げられたのが、川路利良のパリ大便放擲事件だったりするのも凄い。
もちろん、そういうネタばかりではなくて、生前山風先生がNHKのインタビューに応えた映像も流れたりとお宝映像もあり(昨年末に放映されたETV特集で山風を演じた三國連太郎が見事だったので、ご本人もああいうしゃべり方かと思いきやえらい早口でちょっと面食らいましたが)、そういった角度からも、山風ファンであれば必見の内容かと思います。
残る放送は3回、ファンの方もマニアの方も、山田風太郎先生に興味をお持ちの方は、火曜日夜は是非NHK教育のチェックを。ちなみに再放送も翌週火曜日の早朝からやるようなので、第1回を見逃した方はぜひ。
テキストも発売されています(しかも併録はオーケン語る江戸川乱歩先生)が、こちらはこちらでなかなか面白い内容なので、こちらもどうぞ。
と、しつこくこの手の話で恐縮ですが、画面に山本タカト先生によるちくま文庫の忍法帖短編全集の表紙がアップで流された時、放送事故になるんじゃないかと余計な期待心配した人は決して私だけじゃない…ですよね?
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