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2006.01.16

「劇場版 仮面ライダー響鬼と7人の戦鬼」 仮面ライダー戦国世界を駆ける


 レンタルが開始された「劇場版 仮面ライダー響鬼と7人の戦鬼」を観ました。
 作品自体は昨年9月に劇場公開されたものですが、いかに時代劇とは言え、さすがにいい年こいて映画館で観るのは如何なものかと思ったのと、公開当時のネット上の雰囲気があまりよろしくなかったため(婉曲な表現)、今まで観ておりませんでしたがようやくDVDで観ることができました。

 この作品は、現代の日本で響鬼を倒した巨大魔化魍オロチを倒すため文献を漁っていた明日夢少年が、戦国時代の文献の中に自分と同じ名前の少年と、オロチと戦った響鬼と7人の戦鬼がいたことを知る、という形で、戦国時代の鬼たちの戦いが描かれていくという趣向。
 魔化魍の脅威から逃れるためにオロチに生贄を差し出していたとある村の少年・明日夢が、生贄に選ばれた幼馴染み・ひとえを救うため、人間ならざる力を以て魔化魍と戦う「鬼」を探して旅をし、いずれも一癖ありげな助っ人っちが集まってくる――という、一言で言ってしまえば「七人の侍」パターンであります。

 5月にはディレクターズカット版も発売されるということで、きちんとした感想はその時にまた書きたいと思いますが、粗は多いものの、普通に特撮ヒーロー時代劇として楽しめる作品でありました。
 わずか一時間強で劇場版オリジナルの鬼たちのキャラクターを描けるのかな…と気になりましたが(そしてその懸念はかなり当たった部分もありましたが)、異常にインパクトのある鬼たちのデザインの楽しさもあり、終盤、ちょっと登場しすぎじゃないの? というくらいに増殖した戦闘員を蹴散らすのはヒーローものの王道として気分がよかったですし(特に銅鑼を使った凍鬼の豪快な必殺技は面白かった)、「変身忍者嵐」などの昔懐かしの特撮ヒーロー時代劇を今の映像クオリティでやるとこうなるのかなという印象でありました。

 また、人ならざるものである鬼が、人を守るため、鬼の力を以て魔化魍と戦うというシチュエーションは、なかなかに石ノ森章太郎先生チック、元祖仮面ライダー的な香りがありますが、TVの方では完全に鬼(…というか鬼の力を持った人間)が人間社会の中に溶け込んでいる、受け容れられているという状況なのに対し、この劇場版では、鬼が人々から畏怖と同時に嫌悪の目で見られる存在という、設定の違いが面白いところ。
 何で仮面ライダーで時代劇? という疑問は当然つきまとうであろうこの作品ですが、時代劇(=現代と異なる時代の物語)として設定したことにより、より元祖仮面ライダー的味わいを見せようとしたということなのかな、と個人的には(あくまでも個人的に、ね)思った次第。
 もちろんその試みが成功しているか、というのは別な話で、もう少し鬼が差別される理由・背景を掘り下げて描く必要があったのかな、と思わないでもないですが、戦国時代の鬼の存在の持つ一種の矛盾を体現したような歌舞鬼のキャラクターがかなり面白く、彼の言動(ひとえや明日夢に裏切り者としての正体を知られてからの表情が見事)を見ていればある程度のことは読みとれるかな、とも思います。

 といったところはいいとして、構成等に勿体ない点が色々とあったのも事実。
 現代にオロチとの決戦を持ってきたため、戦国時代での決戦は、ほとんどポッと出の魔化魍ヒトツミがボス扱いになって、カタルシスに欠ける部分があったのは残念なところ。特にヒトツミは、デザインは「変身忍者嵐」の血車魔神斎、人間の姿をしているときは安倍麻美という二重においしいキャラクターだったのですが、結局「異常に耐久力のある敵」くらいの扱いになってしまったのが何とも勿体ない。少女の姿で手鞠をついている姿がなかなか雰囲気あっただけに、もう少しボス敵としてのキャラ立てがしてあれば面白かったのに、という感はあります(というか安倍麻美、よくこの役引き受けたなあ)。
 もう一つ、上記の歌舞鬼が響鬼との決闘の後、どこに行ってしまったのか、生死不明のままフェードアウトしてしまったのも、それまでのキャラが立っていただけに勿体ないと感じました(これはディレクターズカットで何かありそうですが…ていうか歌舞鬼って音撃技出していないような気が)。

 とはいえ、子供向けの特撮ヒーロー映画として見れば、なかなか楽しい作品であったかと思います。 TV版の熱狂的ファンの方はどう思うかは知りませんが、例えばヒーロー好きのお子さんなどと一緒に、あまり難しいことを考えずに見る分には十分以上に楽しい作品なのではないかと思います。


 …というか、いい年こいた大人がフラフラしている姿って、現代劇より時代劇の方が違和感なく見ることが出来ますね、と怒られそうなことを書いてこの稿おしまい。


「劇場版 仮面ライダー響鬼と7人の戦鬼」(東映ビデオ DVD) Amazon

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