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2006.01.06

「武蔵伝 異説剣豪伝奇」 石川賢流チャンバラアクション全開


 「コミック乱ツインズ」誌で昨年から連載開始された石川賢の最新作の単行本第1巻が昨年末発売されました。宮本武蔵「たち」と江戸柳生の総力戦を描いた伝奇時代活劇であります。

 既に本誌連載開始時にも採り上げましたが、何と言っても天下の宮本武蔵がぞろぞろと10人余りも登場してしまうのが愉快な本作、一応(?)武蔵らしいイメージの二人の武蔵、新免武蔵と義経武蔵はともかく、それ以外の武蔵は坊主はいるわ爺はいるわ、はては美少女までいるわといい意味でムチャクチャです。
 武蔵複数説というのは伝奇ものの世界ではさほど珍しくない話ですが、それをここまでブッ飛ばしたものにしてしまうのはさすがは石川賢。しかし考えてみれば情報メディアなどというものがほとんど未発達だったこの時代、ただでさえ素性の怪しい宮本武蔵という剣士の名を名乗っていた輩は山といたと思いますし、そういう意味ではずいぶんリアリティがあると言ってもいいかもしれません。

 さてこの作品、本のオビでは「超伝奇剣戟活劇」と謳っていますが、石川賢作品にしては伝奇度は薄め。(いまのところ)魔界も怪物も巨大ロボットも出てきません。それどころか人情話的なものもあったりするのですが、しかしそれで面白くないかといえば勿論答えはNo。
 技巧派というよりどう考えてもパワーファイターの印象が強い宮本武蔵ですが、そのイメージそのままの豪快無比な武蔵のチャンバラがこれでもかと満載、やはりアクション(特に大乱戦)を描かせたら屈指の作者の作品だけあって、理屈抜きのチャンバラアクション活劇となっています。

 また、バイオレンスものでありながらカラッと脳天気なまでに豪快な主人公が多い石川作品ですが、本作の新免武蔵もまさしくその系譜の快男児。特に、この武蔵、豪快なだけでなくどこかすっとぼけた可愛げのある人物に描かれていて、どうにも血腥くならざるを得ない物語の印象を和らげていると言えます。

 なお、この第1巻に収録されているのは第7話、武蔵たちが宿場町の罠を乗り越えて、箱根関に入ったところまで。最新号では武蔵といえば…のあの人まで復活(?)、果たして物語自体がどこに向かっているか謎だらけで、先が気になる作品であることは間違いありません。


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 「何だかものすごく綺麗に終わっちゃったよ、おい!」と、私を含む世の石川賢ファン... [続きを読む]

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