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2006.01.08

「手習重兵衛 暁闇」 夜明け前が一番暗い?


 手習重兵衛シリーズの第三作は、いよいよシリーズの本筋、重兵衛自身の物語。
 重兵衛が国元を出奔する事件の際に、心ならずも斬ることとなってしまった親友の弟にして天才少年剣士・松山輔之進が登場、重兵衛に迫ります。更に密命を帯びて重兵衛の元に向かっていた彼の弟が何者かに惨殺されるという悲劇までもが起こり、更に目に見えない刺客たちまでもが重兵衛を狙って蠢き出すというピンチに次ぐピンチの展開です。

 それでも物語が重くなりすぎずに楽しむことができるのは、重兵衛を取り巻く人々の存在あってこそ。重兵衛の頼もしい友人である左馬助と惣三郎、重兵衛の住む白金村の人々、そして何よりも、重兵衛の手習所の生徒たち――自分の過去の罪と向き合わされ、肉親をも失った重兵衛にとって、彼らの存在がどれだけ大きいかは想像に難くありません。

 そして、その苦闘の果てに重兵衛が掴んだ真実は、驚くべきものでありました。重兵衛が国元で着せられた公金横領の濡れ衣については、よくあるパターンではありますが、親友殺しについても、ちょっと驚かされるどんでん返しが(正直、物理的に可能かなあ、という気もしますが、まあ面白いし有り難いのでアリでしょう)。

 夜明け前が一番暗いという言葉もあるように、苦境の先で明るい光が差してきた重兵衛の人生。しかし、濡れ衣を晴らした重兵衛は、あれだけ親しんできた白金村から離れて侍に戻ってしまうのか。そして本当にこれで全ての悪が滅んだのか? 嬉しい中にも悩みの種を残して、シリーズは後半戦に入るのでした。


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