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2006.01.17

「松平長七郎浪花日記」 松平長七郎、ここに復活


 突然ですが学陽書房の人物文庫というのは本当に何が飛び出してくるかわからないところで、お堅いイメージとは裏腹(?)に、ええっこんな本もアリなの!?的な作品が登場することもしばしばです。
 この「松平長七郎浪花日記」もその一つで、まさかここでこの作品に出会えようとは…と嬉しい驚きでした。

 本作の主人公・松平長七郎は、里見浩太朗の「長七郎江戸日記」でご存じの方も多いと思いますが、かなり不思議な人物であります。
 一説によれば(というより本作をはじめとするフィクションの世界などでは)駿河大納言忠長(あの「シグルイ」の既知外殿さまですね)の長男で、紀伊の徳川頼宣の庇護のもとで成長したというお話ですが、本当に実在したのか、ちと怪しい(新潮日本人名辞典によれば忠長は1606年生まれですが、長七郎は1614年生まれなんですな)。
 とはいえ、島原の乱の際には幕府軍に加わろうとするも板倉重昌に拒否されたため、単独で戦ったという素敵なエピソードも伝わっており、実在だろうと架空だろうと、実においしい人物であることは間違いありません。

 さて、本作の松平長七郎様は、母の実家の江戸屋敷でお供と三人で暮らす文武に優れた快男児。人に抜きんでた能力を持ちながらも、その生まれ故に飼い殺し同然に暮らす長七郎の耳にある日飛び込んできたのは、父の名をかたり、国姓爺鄭成功への軍資金を集める謎の一味。
 亡き父の名を汚す奴らを許しておけぬと(格好の暇潰しに)勇躍立ち上がる長七郎ですが、事件の背後には紀伊徳川家を巻き込み、海をも越える謎と陰謀が…というのが本作のストーリー。

 やがて事件は反清復明の軍資金を巡っての攻防戦に発展、勇躍長七郎一党は、謎を追って九州に向かいますが、このあらすじから見てもわかるように、本作は純然たるエンターテイメント。今で言えば文庫書き下ろし時代小説的ノリ、と言えばわかりやすいでしょうか、颯爽たるヒーローに、美しいヒロイン、次々と起こる怪事件に満載のチャンバラと、大衆娯楽の王道を行くかのような内容であります。
 こいつ怪しい!と思った人間が100%敵方の人間だったり、タイトルでは「浪花」なのにあんまり浪花が舞台じゃないとか、突っ込みどころは多々あるのですが(ぶっちゃけこのシリーズは大抵そうなんですが)、しかし、そうした点も含めて、肩の力を抜いて安心して楽しめる作品かと思います。

 シリーズと言えば、この村上元三先生の松平長七郎シリーズは、これまで光文社文庫から発行されていましたが、私の記憶に間違いがなければ、この「浪花日記」はこれまで文庫化されていなかったように思います。
 そういう意味では、こうして文庫化されるのは本当にありがたい話ですし、本作と、同時発売の「江戸日記」に続くシリーズ続刊も、ぜひ文庫化復刊していただきたいものです。


「松平長七郎浪花日記」(村上元三 学陽書房人物文庫) Amazon bk1

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