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2006.01.03

「天下騒乱 徳川三代の陰謀」を観ましたよ

 昨日放映された新春ワイド時代劇「天下騒乱 徳川三代の陰謀」。さすがに10時間フルには見ることは出来ず、後半を重点的に見ることになりましたが、原作小説(こちらもいずれ紹介したいと思います)と比較したりしつつ感想をざっと書きたいと思います。

○キャスティングはほぼ納得の顔ぶれ。特に渋いオヤジ陣最高(蜂須賀蓬庵のあまりの悪役ヅラには苦笑しましたが)。あらかじめキャスティングをほとんどチェックしていなかったので、新しい人物が登場するたびに驚いていましたよ(笑)。一番心配だったのは柳生十兵衛役の中村獅童だったのですが、いや、良い意味で青臭い熱血漢ぶりだったと思います。すっかり貫禄の増した村上弘明も、ある意味剣の超人と言える本作の荒木又右衛門像にピッタリでありました。

○原作と大きく異なる点は、柳生一族の絡み方…というか十兵衛の出番の多さ。原作では土井利勝と荒木又右衛門の二人が主人公格でしたが、ドラマでは十兵衛がもう一人の主人公として活躍。正直、無理矢理出番を増やしていた感がなきにしもあらずですが、しかし、大義のためにあえて悪となる、あるいは己を滅することのできる「よくできた」人間と対比される存在として、十兵衛のキャラクターは面白い立ち位置だったと思います。

○また、対比という点で原作よりも強調して描かれていたのは、鍵屋の辻の決闘に挑む男たちの陰に在った女性たちの存在。鍵屋の辻で甚左衛門・半兵衛・又五郎と河合側が一人ずつ散っていく場面は、まあ、演出的にちょっとくどいかな、という気もしましたが、大義の陰で、ごくごく普通の幸せを求めつつも涙にくれるしかなかった一般人の姿を描くという意味ではそれなりに納得できるものがありました。しかし毒男は用無しね、この世界('A`)

○その鍵屋の辻での決闘シーンは、通常の(?)鍵屋の辻では槍を持つまでもなく討たれてしまう桜井半兵衛が、しっかりと槍を手にして又右衛門とガチバトルを展開してくれたのが面白かった。半兵衛役の榎木孝明の渋さもあって、霞の半兵衛の名乗りシーンはかなり燃えました。そしてまた、渡辺数馬と河合又五郎の決闘は、「ヘタクソ同士が刀を振り回して本人たちは必死だけど端から見るともうグダグダの殺し合い」という状態を、うまく描き出していたと思います。

○そういえばこのドラマでは河合又五郎がかなり良い(おいしい)キャラクターとして描かれていたのが印象的でありました。己の短慮から多くの人々を巻き込んだとはいえ、あくまでもごく普通の、心優しい若者として又五郎が描かれていたのは、なかなかユニークでした(歌舞伎や講談だと単なる恩知らずの卑怯者だし、その他のメディアでも横恋慕のホモ野郎だったりするからな、又五郎)

○そうそう、原作と一番大きく異なっていたのは、この騒動を利用して家光を廃し、徳川忠長を将軍につけようとしたお江与の方・天海僧正の陰謀の存在なわけですが、あまりに杜撰な陰謀で本筋から浮きまくっていたというのはまあ置いておくとして、なかなか面白い切り口だと個人的には感心しました。大名方と旗本方が、共に大局を考えずに己の立場を押し通さんとしたばかりに天下騒乱の火種が生まれるというのが原作の展開ですが、ここではそれを一歩押し進めて、その火種を己のために自覚的に利用しようとした勢力が描かれたわけで、原作の設定を活かしたなかなか面白いifだったかと思います。

○ただ一つ、どうにかして欲しかったのは鍵屋の辻の決闘が終わってからもなお一時間ほど話がダラダラと続いてしまうことで、しかもその締めくくりが徳川一家のホームドラマで終わってしまうのが何とも残念でありました。

○というわけで、原作もののドラマでは毎度毎度の感想となりますが、原作の生真面目なファンの方はともかくとして、TV時代劇ファンとしてはかなり楽しめるドラマになっていたかと思います。原作からの脚色も、上記の通りまあ納得(理解)できる範囲のものでありましたし、「正しいTV時代劇」をおなか一杯楽しむことができました。


 と、ここから先はまた台無しの感想。
○林隆三演じる河合甚左衛門を慕うのが加藤夏希というのは幾ら何でもあんまりだと思いました。幾つ年の差があると思っているのですか! 「早春物語」の頃から林隆三は許せん。
○サトエリはこの手のくノ一を演じさせたら日本一なのではないかと思います。絵に描いたような「主人公に仕えるけど衝突してばかりででも本当は主人公ラヴなくノ一」っぷりに感動しました。

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コメント

最初からこっちに書けば良かった。

原作があったんですね。機会が有れば読んでみたいと思います。
あの決闘シーンが非常に良かっただけに、あの政治的陰謀は要らなかったのではないかと思っていたのですが。
陰謀を企んだ二人が殺されなかった点が何とも消化不良だったんで、掲示板の方にも書きましたけど、まだ余命のある天海じゃなくて史実では前年に死んでいる崇伝にしておけばぶち殺せたのに。

投稿: 冬至楼均 | 2006.01.04 16:40

冬至楼均さんこんにちは。
いや、全くおっしゃるとおりで、やはり決闘シーン+後日談ちょっとで終わっていれば実に良かったと思うのですが、そこはまあ、TV時代劇に派手にしたかったのかなあ、と…
(個人的には十兵衛は家光の首取りに行くんじゃないかとドキドキしました<それは別の作品)

投稿: 三田主水 | 2006.01.04 23:59

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実家に帰った時、母が観ていたので第二部中盤あたりから観ました。 大忠臣蔵のときは平気で12時間ドラマ観てたのにな。 1時間以上テレビを観るのはいったいいつ以来か・・・。 全体的な感想 ストーリー自体はちょっと途中で席を外せないくらい山場が多く面白かったのですが、明確な悪がどこにもいない(南光坊天海あたりが一番悪っぽい立ち位置ですが、存在感が希薄・・・な上になんのお咎めもなく生き残る)のにバタバタと人が死んでいくあたりなんとも後味が悪いです。 まるで聖帝十字陵編前後の北斗の拳のように敵味... [続きを読む]

受信: 2006.01.05 00:40

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