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2006.01.05

病床で「日本妖怪大事典」を読むこと


 なんだかんだで毎日blogの更新はしていますが、昨年末から高熱が続き、年末年始の結構な時間を床の中で過ごしています。といっても睡眠を取るのも限界があるので本など読んでいるわけですが、徒然を慰めるのに存外役に立ったのが村上健司氏の「日本妖怪大事典」(病気の時にそんなの読むなよ、というのはまあ置いておくとして)。
 私は昔から事典の類が大好きで、小さな項目が集まっていることからちょっとした時間に少しずつ読むことが出来るのがその理由の一つだったりするのですが、まさにそういう意味では病床で目を通すにはうってつけの一冊でありました。

 この本、氏が以前毎日新聞社から出された「妖怪事典」のマイナーチェンジ版というべき本で、全ての項目を比べたわけではありませんが、ほぼこちらの方の記述がそのまま掲載されているように思います(むしろこちらの方に掲載されている日本各地での怪異の呼称等の民俗学的項目が「日本妖怪大事典」では省かれている分、項目数は減っているかもしれません)。
 そういう意味では、妖怪ファン・マニア(私もその一人ですが)でもない限り両方買う必要はないように思いますが、こちらの大事典のウリは水木しげる先生のイラストが入っていること。水木しげる先生の妖怪本こそ、それこそ山のように出ているわけでさほどのアドバンテージにならないように思えるかもしれませんが、村上氏の簡明ながら押さえるべき所をしっかり押さえた解説と、水木イラストが組み合わさった時の相乗効果は、想像以上に大きく、大袈裟に言えば、人間のビジュアライゼーション能力の大きさというものをつくづくと感じさせられた次第です。

 と、もう一つ感心したのは(これは「妖怪事典」にも共通することですが)、村上氏が、個々の項目で出典を明記し、その伝承の根拠・起源の有無を明確にしていること。
 妖怪ファン・マニアであればよく知っていることですが、この世界、想像以上にフィクションの(そもそも想像の産物にフィクションという言葉を使うのも如何なものか、という気はしますが、要するに伝承・伝説等に根拠がない、後世の書き手の筆先の産物という意味と考えて下さい)妖怪、いわゆる捏造妖怪が多いのですが、それをきちんと指摘し、明示しているのは、妖怪本としてはコロンブスの卵的アプローチではないかと思います。
 考えてみれば、妖怪絵師の神様的存在の鳥山石燕先生であっても、相当数妖怪を創作しているわけで、その辺りを一度はっきりとさせておくことは、やはり意味のあることではないかと思うのです。

 この「日本妖怪大事典」、内容的には(項目数の多寡はあれ)ほぼ同一のものでありながら「妖怪事典」よりも千円以上定価が安いこともあり、濃いファン・マニアの方はさておき、ちょっと詳しめの妖怪解説/概説本をお探しの向きいは、一度手にとってもらいたいものです。


「日本妖怪大事典」(村上健司 角川書店) Amazon bk1

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