« 「takeru-SUSANOH~魔性の剣より-」第1巻 三人のタケル、ここに出逢う | トップページ | 八犬伝特集その九 「現代語訳 南総里見八犬伝」 »

2006.02.02

「新鬼武者 NIGHT OF GENESIS」第1巻 夜明けに向けての旅立ち


 つい先日発売されたばかりのPS2用ゲームソフト「新 鬼武者 DAWN OF DREAMS」の書き下ろしプレストーリーコミックです。同作品のプレストーリーコミックとしては、「コミック戦国マガジン」誌に連載され、南光坊天海と豊臣秀次の戦いを描いた「新 鬼武者 TWILIGHT OF DESIRE」がありますが、こちらは時間軸的にそれよりも後の話、ゲーム本編の主人公でもある“灰燼の蒼鬼”こと結城秀康と、柳生石舟斎の孫娘・柳生十兵衛茜の、それぞれが鬼武者として覚醒し、旅立つまでが描かれています。

 既に天下を手中におさめつつも、かつての主君同様、幻魔の力を利用して世界制覇を目論む秀吉。その養子でありながら、朝鮮出兵で地獄を経験し秀吉を憎む秀康は、秀吉に刃を向けるも、その前には異形に変生した加藤清正(虎縞に変身するのが愉快)が現れ…というのが秀康サイドのストーリー。ゲームの製作発表当初から物語の重要な要素として語られていた“桜”の正体が描かれますが、これはなるほど秀康でなくとも怒りに震えそうな鬼畜の所業、秀康が鬼武者に開眼するのも納得できます。

 ここまでがこの巻の1/3弱、残りで描かれるのは茜の物語。同門とのバトルロワイヤルを勝ち抜いて栄えある“十兵衛”の名を継承した(こういう設定なので納得して下さい)彼女の前に現れたのは、柳生を捨て、豊臣方に付いた(!)柳生宗矩と淀君。二人の力で地獄と化した柳生の里で死闘が繰り広げられるわけですが、ここでは「TWILIGHT OF DESIRE」の主人公・天海が登場、相変わらず謎めいた存在感できっちり脇を固めています。
 しかしそれ以上に目をひくのは、かつて「鬼武者2」で主役を張った元・柳生十兵衛の石舟斎が老いた姿で登場すること。考えてみれば石舟斎はこの16世紀末の時点でまだ存命だったわけで、登場自体は全く不思議ではないのですが、なるほど、松田勇作が年取るとこういう風になるのか…というのは冗談としても、かつての主人公がこうして登場するというのは、大河シリーズの醍醐味でありますし、感慨深いものがあります(石舟斎が、淀君にその母・お市の方こと小谷のお邑の姿を見るのも面白い)。

 ちなみにここで登場する宗矩は、DQN以外の何者でもない言動を見せる、個人的にははっきり言って不快なだけの存在でしたが、どうやらこいつも鬼武者の力を持つ様子。悪の鬼武者という設定は実に面白いと思いますし、石舟斎との間にも何やら確執がある様子。史実との整合性をどう取るかということも含めて(…期待しない方がいいか? やっぱり)気になるキャラではあります。
 というか鬼武者パワー発揮で館をぶっ壊した茜に対し、「女の子が家ぶっ潰すさんてなァ!! 縁起悪くてお嫁に行けねーぞ!!」と叫ぶ辺り、意外と面白い奴かもしれません。

 …とここまであれこれ書いてきて何ですが、白状すると私、実は残念なことにまだ本編である「DAWN OF DREAMS」はプレイしていません。いませんが、それでも十分に楽しめるコミックであることは間違いありません(個人的にはあまり好みの絵柄ではありませんが、まあそれは個人の感覚でしょうか)。
 何というか、このテの時代劇がダメな人には全くオススメしませんが(そういう方はまあこのシリーズに手は出さないことと思いますが)、シリーズファン、ゲーム本編をプレイしている方は読んで全く損はないのではと思う次第。
 個人的には、茜と技を競い合う同門の少年の名が「助九郎」だったり、柳生の番頭格の剣士が「庄田」だったりというような小ネタにニヤリとさせられましたよ。


「新鬼武者 NIGHT OF GENESIS」第1巻(大崎充 CAPCOM COMICS) Amazon bk1


関連記事
 いざ、出陣! 「コミック戦国マガジン」第1号
 ユニークな存在感の雑誌に 「コミック戦国マガジン」第2号
 「コミック戦国マガジン」第3号 ギャグの布陣が強烈無比

|

« 「takeru-SUSANOH~魔性の剣より-」第1巻 三人のタケル、ここに出逢う | トップページ | 八犬伝特集その九 「現代語訳 南総里見八犬伝」 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/13655/8458799

この記事へのトラックバック一覧です: 「新鬼武者 NIGHT OF GENESIS」第1巻 夜明けに向けての旅立ち:

« 「takeru-SUSANOH~魔性の剣より-」第1巻 三人のタケル、ここに出逢う | トップページ | 八犬伝特集その九 「現代語訳 南総里見八犬伝」 »