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2006.02.22

今月の「シグルイ」 狂星墜つ

 「シグルイ」という作品については、基本的に雑誌掲載時ではなく、単行本になってからまとめて読むことにしています。単行本で一気に勢いに乗って、それでいて物語の隅から隅まで丹念に味わうのがこの作品に対してはふさわしい態度だと思っているのですが(いや、別に「チャンピオンRED」は付録のおかげで紐がかかっているから立ち読みできないからとかそういうわけではないのです)、ネットで今回何が起こったか知るに至って、どうにも我慢できず「チャンピオンRED」の最新号を手に取りました。

 巨星…いや狂星墜つ、と言うべきでしょうか。虎眼先生と伊良子清玄の死闘に決着が、遂についたのです。原作読者にとっては――というよりも「シグルイ」読者にとっては――ここで虎眼先生が死ぬ、死なねばならぬというのはよく理解しているわけですが、しかしそれでもなお、強い衝撃を受けた今回。
 本作の剣戟描写が、既に漫画界でもトップクラスに位置していることは今更言うまでもなく、例えるならば、高速で回転する独楽が止まって見えるかのように、紙上に描かれた絵でありながらもその中に強く鋭い動きを感じさせる、そんな本作の、作者のパワーは、秘剣流れ星対無明逆流れという魔剣と妖剣の一瞬の交錯を、見事に描ききっていたかと思います。

 しかし…敗れてもなお、無惨極まりない姿となってなお、虎眼先生が強烈な求心力を――言い換えれば魅力を持っているのには驚かされます。凄絶な私刑を経て、妖人として生まれ変わったかに見えた伊良子、紙一重の差ながら勝利を掴んだ伊良子ですら遠く及ばない強い何かを虎眼先生は持っていると、今更ながら感じ入った次第。
 岩本虎眼という人物の命はここで終わったとしても、これから先、その名は(ナニな漫画好きの間で)語り継がれていくことでありましょう。

 しかしながら――自分でも少し不思議なことに――私の読後の第一印象は「ようやく始まった…」というものでありました。虎眼が退場したとしても、その巨大な狂気が振りまき、その周囲の者たちの心身の奥深くに埋め込まれた種は、今まさにこれから、虎眼の流した血を糧にして芽吹き、育ち、大輪の花を咲かせるのでしょう。…おそらく、この惨劇の場に唯一居合わせなかった男の中からも。


 それにしても…豆腐とか白子という表現はありますが、うどん玉、という形容は初めて見ましたよ。


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