« 「怪~ayakashi~ 化猫」大詰め もしかして神作品? | トップページ | 「豪談岩見重太郎」 内なる獣との訣別 »

2006.03.27

「豪談猿飛佐助」 佐助、天空を駆ける


 今から10年前(もうそんなに経つのか…)に中央公論社より書き下ろしシリーズで発表された豪談(永井豪版講談、と言えばいいでしょうか)シリーズの一作。立川文庫等、講談の「猿飛佐助」をベースにしつつも、講談の方と同じなのは、佐助が鷲尾佐太夫の子供であるということと、戸沢白雲斎の下で修行した後真田幸村に仕えたこと、忍術を悪用する石川五右衛門と対決したことくらいで、後は全く異なる伝奇アクションとなっています。

 本作での猿飛佐助は、自分に加わる重力を制御して、人間離れした跳躍力を発揮する空飛びの術の遣い手である、一種の超能力者。そして佐助の兄弟子であり、ライバルでもある石川五右衛門も、自在に地面や樹などの物質に潜り込み、移動する力を持つ同様の能力者として描かれています。
 本作(というより豪談シリーズ)においては、こうした能力者たちは、かつて自然と交感し特異な力を発揮しつつも、仏教等に追われて山に移り住んだ覡の、山の民の末裔という設定で、真田家もまた同じ血を引くものとして描かれているのが目を引きます。

 同じ師に学びながらも、幸村の下で山の民を守るための戦いに加わった佐助と、己の力を使い自儘に振る舞うために盗賊となった五右衛門の対決…というのは、まあよくあるシチュエーションではありますが、面白いのは妻子を秀吉の手の者に殺された(と思いこんだ)五右衛門が選んだ復讐の手段。
 未読の方のために詳しくは書けませんが、五右衛門釜茹での史実に絡めた、アッと驚く壮絶なものであります。そしてまた、それを阻止するために佐助が己の能力を最大限に発揮して飛翔するシーンは、緊迫したシチュエーションも相まって、なかなか迫力のあるシーンとなっていました。

 本作は五右衛門との決着までで終わりますが、それ以降の佐助と幸村の戦い、山の民サーガともいうべき物語は、「豪談霧隠才蔵」「豪談真田軍記」に続くのでした。

 なお、現在流布しているリイド文庫版の本作には、「豪談岩見重太郎」が併録されていますが、この作品についてはまた稿を改めることとします。


「豪談猿飛佐助」(永井豪とダイナミックプロ リイド文庫ほか) Amazon bk1

|

« 「怪~ayakashi~ 化猫」大詰め もしかして神作品? | トップページ | 「豪談岩見重太郎」 内なる獣との訣別 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/13655/9275475

この記事へのトラックバック一覧です: 「豪談猿飛佐助」 佐助、天空を駆ける:

« 「怪~ayakashi~ 化猫」大詰め もしかして神作品? | トップページ | 「豪談岩見重太郎」 内なる獣との訣別 »