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2006.03.22

今週の「Y十M」と「夫婦表具師事件帖」

 今週の「Y十M」、三週連続掲載の三週目にしてようやく十兵衛先生が登場。不敵にも般若党の一人に化けて紛れ込むという思い切った手段に出た十兵衛ですが、さすがに五本槍、見ン事変装を見破って…と言いたいところですが、紛れ込まれる時点で既にいかがなものかと。
 ちなみに十兵衛が化けたのは鷲之巣廉助。気絶させられた挙げ句十兵衛に背負われていたという激しい醜態を晒した廉助さんですが、しかし何故彼がこんな目に遭わされたかと言えば、体型に関する消去法なわけで、これはちょっと不運と言えば不運な話かもしれません。
 異様にスリムな一眼房とかいたら一発でばれるからなあ…

 と、正体が暴かれた十兵衛に襲いかかる五本槍。さすがに十兵衛先生でも分が悪い戦いですが、面を割られつつも見事に凌ぎきり、かつきっちりとお返しをしながらも無事逃走。もっとも、五本槍側のプライドには大ダメージを与えたものの、本来の目的であろう敵の本拠に潜入するという目的は果たせず、痛み分けといえば痛み分けでしょうか。
 しかし、十兵衛がここで隻眼であることを悟らせなかったことが意外な展開につながっていくわけですが…それは来月のお楽しみということで。

 それにしても、疾走しながらの一瞬の攻防というものをきっちりと見せてくれて満足でしたよ。


 さて、またもや「Y十M」だけでは寂しいのでもう一本、最近雑誌に掲載された時代コミックを紹介。小学館の時代歴史コミック誌「ビッグコミック1(ONE)」の最新号に、高瀬理恵先生の「夫婦表具師事件帖」という作品が掲載されています。高瀬先生で表具師で夫婦といえば、ファンであればすぐにピンと来るのではないでしょうか。そう、「公家侍秘録」に登場する斎之介とお千香さんの表具師カップルを主人公に据えた物語です。

 二人と同じ長屋に住む地味な女性が、悪い男に唆されてお千香さんの名を騙って扇絵を描き、評判を集めるも…というストーリーで、「公家侍秘録」でもしばしば登場する(というより大半を占める)美術品テーマではありますが、庶民の立場から物語を描いたという点で、この夫婦を主人公とする意味があると言えます。
 何よりも心に響くのはこの薄倖の女性のキャラクター描写で、人間ならば程度の差こそあれ誰もが持つ「もっと愛されたい」「何であの人ばかり…」という感情から道を踏み外しかける姿は、非常にリアリティがありますし、一種共感を呼ぶものがあったと言えます。
 そしてまた、彼女を止めるのが、今は幸せそのものに見えても、かつては姫君の身から苦界に身を沈めることとなり、世の辛酸を舐めたお千香であるところがまた、実にグッとくるところで…どうも泣かせに弱い私としては、まんまと涙目にさせられてしまったことです。

 それにしても斎之介、「公家侍秘録」では準レギュラーキャラとしてしばしば登場していますが、この短編で夫婦ともども一本立ち。元々、(私の記憶では)本編の主人公・天野守武も「首斬り門人帳」のゲストキャラクターが初出で、いわば「公家侍秘録」はスピンオフして生まれた作品。ここでスピンオフのそのまたスピンオフという形で新しい作品が生まれたのも、何とも面白いことです。
 気が早いですが、そのまたまたスピンオフが生まれるくらい、この作品もシリーズ化して続いてくれればと思う次第です。

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