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2006.04.11

「物語柳生宗矩」 “でもあった”宗矩像

 昨日は柳生十兵衛を取り上げたので今日は柳生宗矩…というわけではないですが、タイトルの通り、柳生宗矩の一生を、彼の一族・周辺の人々、そしてその剣理を通じて描いた作品を。何の気なしに足を踏み入れた古本屋で発見したので確保、早速読んでみたものです。

 柳生宗矩というと、どうも重厚な人柄で堅苦しい性格の剣聖か、さもなくば剣の道を外れた陰険な陰謀家として描かれることがほとんどですが、本書においてはそのどちらでもなく、実直な人柄の勤め人、家光の指南役というより教育係として捉えているのが面白いところ。「宗矩は剣術家であったのではなく剣術家でもあった」という一文が、何よりも作者のスタンスを良く表していると言えるでしょう。
 なるほど、フィクションの宗矩像に慣れた身としてはいささか真っ当すぎる気もしますが、剣術指南から大名にまで上り詰めた宗矩の姿を史実をベースに眺めると、本書の宗矩像はなかなかに卓見のように思えます。

 物語といいつつ、基本的に史実を追った歴史記事の集合といった趣で、特に必ずしも編年体で描かれているわけではなく同じような記述が何度か現れたり、また、客観的でいるようでいてかなり作者の主観が入っていたり(そこが「物語」たる所以かもしれませんが)、微妙な点はあるものの、父や息子たちに比べていささか地味に感じられる柳生宗矩の事績をこのような形でまとめたというのはなかなか貴重な本かと思います。

 宗矩の「兵法家伝書」、沢庵が宗矩に与えた「不動智神妙録」「太阿記」のほぼ全文が収録されているのもポイントが高いところでしょう。拾い物でありました。


「物語柳生宗矩」(江崎俊平 社会思想社現代教養文庫) bk1

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