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2006.05.25

「武死道」第2巻 サムライvsそるじゃあ

 文庫化も進む朝松健の名作「旋風伝 レラ=シウ」をベースとしつつ、独自のバイタリティ溢れるバイオレンスアクションを展開する「武死道」に早くも第2巻が登場です。
 第1巻のラストで、ほとんど最終回的なテンションで土方が亡くなった後の、志波新之介の死闘の道程が描かれるこの巻でも、ヒロモト流バイオレンスは健在。いつものことながら、途方もなく暴力的でありながら、どこかユーモラスで、そして猛烈に熱いヒロモト作品として、見事に成立しています。

 この巻のハイライトは、からくも生き延びてアイヌ人兄妹と共に逃避行する新之介と、彼らの前に現れた一人のサムライキラーの「そるじゃあ」との対決でしょうか。
 伝奇ファン、新撰組ファンとしては、その手があったか! と驚くと共に否応なしに納得させられたこの人物、間違った方向にパワーアップした黒いサザンクロス(シベリア帰りだしな)のようなビジュアルですが、実に個性的で面白い。
 なるほど、この世界であればあの人物もこう描かれるのか…と感心する一方で、新之介との対決の中で見せた様々な表情の中に、こうなるまでの半生を想像させられたりもして、いやはやまったく刺激的な展開でした(そしてまた、死闘の果てに胸襟を開いたこの人の男臭さがまたいいんだ)。

 そんな、油断しているとどこから何が出てくるかわからない、飛び道具だらけの本作ではありますが、その根底には、権力の暴威と歴史の激動の中で全てを失った少年が、極限状態の中で己の生きる意味と依って立つものを見つけていくという、「旋風伝」のスピリッツが脈々と波打っているのが、ふとした拍子に透けて見えるのがまた面白いところです。

 この先本作がどこに行くのか、どこまで行ってしまうのかはわかりませんが、その行く先をハラハラしつつも胸躍らせて見守りたいと思っている次第。


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