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2006.05.19

「悪鬼裁き 書院番殺法帖」 陰に潜む鬼を斬れ

 下総の遠国調査を命じられた加納左馬ノ助。勝麟太郎と共に下総に赴いた左馬ノ助がそこで見たのは、飯岡助五郎と笹川繁蔵の二大勢力が激しくしのぎを削る様だった。繁蔵の元で鬼切りの太刀を持つ用心棒・平手造酒と出会い、この混乱の背後に、歴史の陰に蠢く“鬼”の存在があることを知った左馬ノ助は、鬼の野望を阻むため、大利根河原の決闘に赴く。

 第三作がもう出ているのに今頃紹介でごめんなさいの書院番殺法帖シリーズ第二作は、江戸の武家の世界を舞台としていた前作とはがらりと趣を変えて、天保水滸伝の世界を背景に、関東を混乱の世界に変えようとする鬼に、主人公・加納左馬ノ助と仲間たちが挑みます。
 前作は江戸城とその周辺を舞台とした物語でありましたが、今回は上記の通り、江戸を離れ、博徒たちがしのぎを削る無法の地での大活劇。正直なところ、これほど前作とノリを変えてくるとは、全くもっと嬉しい驚きです。

 そしてまた、物語の伝奇性においても、少し抑えめに感じられた前作に比べて大幅増量。
 単なる(?)やくざ者たちの縄張り争いかに見えたものが、実は幕府の転覆にすらつながりかねぬ陰謀に連なるものであり、そしてその背後には、歴史の闇に潜む鬼たちの姿が――という、正直のところ全く予想もしていなかった展開に、良い意味で驚かされました。一条惣太郎のシリーズといい、最近のえとう作品のシリーズ二作目は油断できません。

 そしてまたチャンバラアクションとして見ても、本作の面白さは一級。クライマックス、かの大利根河原の決闘に乗り込んだ左馬ノ助が斬って斬って斬りまくる様は、まさに大殺陣という言葉が相応しい(その直前、博徒たちが勢揃いして名乗りを挙げまくる様は、あまりに豪華すぎる面子も相まって、面白すぎる名シーン)。

 左馬ノ助の獅子奮迅の活躍の果てに落着を見た一件ですが、まだまだ鬼たちの陰謀は序の口。
 鬼たちの首魁にも、なにやら意外な秘密がある様子(時代背景を考えればある程度は予想がつきますが…)で、まだまだ油断できないシリーズになってきたことです。


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