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2006.05.27

「百鬼斬り 四十郎化け物始末」 からす四十郎再びのお目見え

 「妖かし斬り」に続く「四十郎化け物始末」シリーズ第二弾。剣の腕は立つものの、どうにも貧乏くさいヒーロー、常に烏を連れている(つけ狙われている)ことから人呼んで「からす四十郎」こと月村四十郎さんが、またもや難儀な化け物退治稼業に勤しむ羽目になります。

 毎夜そば屋に美女の姿で現れる閻魔様、武家屋敷に「首洗え」と現れる生首の怪、猫好きの女が死後化けたという化け猫の跳梁に、とある農村を夜毎脅かす百鬼夜行と、化け物退治で有名人となった四十郎の元に持ち込まれるのは難事件ばかり。
 さらに、前作で、遠山金四郎と鳥居耀蔵の暗闘に巻き込まれた四十郎は、今回もまた金四郎に見込まれて、行方不明となった西洋の大砲を探す羽目になります。
 奇怪な化け物たちの相手に加え、鳥居の密偵ともやりあう事となった四十郎が、いかにこの苦境を乗り切っていくか…と書くと如何にもヒーロー活劇っぽいですが、基本的に生活に疲れた中年男の四十郎さん、生活のため借金のため、ひいこらいいながら奮闘する姿が何ともペーソス溢れるものとなっています。

 さてこのシリーズ、ネタをばらしてしまえば、いずれも怪異の陰には人間の姿があるのですが、しかし、その怪異を生み出す人間の心というものが、下手な化け物よりもよほど奇怪で恐ろしい。生首の怪を見事解決したあとに描かれる和解の姿にこちらが感じるのは、本当にこれでいいのかな? という薄気味悪さでありますし、化け猫騒動を入り組んだものとさせたある人物の行動も、何ともぞうっとさせられるものがあったことです。

 と、色々と考えさせられるものがある一方で、いい意味で「しょーもない」雰囲気が漂う本作。毎度毎度面倒に巻き込まれる四十郎さんには本当に同情しますが(今回のラストなんて「浦安鉄筋家族」みたいなオチだったしなあ)、これからも、恐ろしくもどこかユーモラスな冒険を繰り広げていただきたいものです。


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