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2006.06.18

「メタル マクベス」を観て参りました

 昨日は青山劇場で劇団☆新感線の「メタル マクベス」「メタル マクベス」を観て参りました。正直に白状すると、シェイクスピアにはほとんど無縁でもちろん「マクベス」も観ていない(そんな奴が先日「天正マクベス」の記事書いたのか…)、メタルも縁がなし。このサイト的に言えば時代劇でもない…それなのに何故観に行ったのかと言えば、ひとえに新感線の舞台であったのと、運良くチケットが手に入ったからで…と、真面目なファンから刺されそうなお話ですが、キャストも尋常でなく豪華だし、新感線のメンバーもお馴染みの面子がほとんど出演しているから大丈夫でしょう、少なくともじゅんさんだけでも観る価値はあるぜ! と行ってみたら――いや、とんでもなく面白かったです、これは。

 舞台は2206年の東京。戦争で既に文明は滅び、北斗の拳みたいな世界で、レスポール王に仕えるランダムスター将軍(内野聖陽)はある日三人の魔女に出会い、自分が未来の王になると予言されます。そしてそれと共に渡されたのは、1980年代の幻のヘヴィメタバンド「マクベス」のCD。そのCDの歌声に導かれるように、そして妻(松たか子)に唆され、王を暗殺してその罪を王子になすりつけ、王位を簒奪するが、やがてランダムスターは罪の意識と猜疑心に苛まれ、やがて破滅へと突き進んでいきます。そしてそれは奇しくも、シェイクスピアの「マクベス」の物語と、80年代のバンド「マクベス」の運命と同じ道だったのでした…
 と、斯様な内容の本作、面白いのは単純に「マクベス」の世界をヘヴィメタで調理するのではなく、2200年代に始まった「マクベス」写しの物語と、それと並行するように語られていく1980年代のもう一つの「マクベス」の物語が、重なり合い、やがて渾然一体となって一つのカタストロフィと向かっていくこと。
 最初にこの二つの「マクベス」の設定を聞いたときには、わかりにくくなるんじゃあと不安でしたが、実際に観てみるとそんなことは全くなく(どちらの物語もキャラクターが強烈だからね)、後半の、二つの物語が溶け合っていく様が実にダイナミックで、同時に恐ろしく、感心させられました。

 しかし何よりも一番感心したのは、ヒロインを演じた松たか子の素晴らしさ/凄まじさで――初登場時のバカップルぶり、中盤の夫を焚きつける烈婦ぶりもさることながら、後半から終盤にかけて徐々に…そして完全に壊れていく様は、ただただ圧巻でした。まことに、壊れ演技は観ていて心配になるほどに、真剣に寒気がするほどの迫力で、それだけに、一瞬正気に戻ったときの哀しさがまた胸に迫るものがあったことです(特にバカップルぶりが一瞬リフレインする様が、もう…)。
 白状しますと、全くお恥ずかしいことに、今までこの方の演技というものを全く観たことがなかったのですが、いや流石だわいと感心した次第。ファンクラブに入ろうかと思いましたよ。

 一方、楽しみにしていた橋本じゅんさんは、主人公の親友で、しかし予言を共に受けたことから恐れられ、疎まれて――という役で、中盤で退場してしまうのですが、実にじゅんさんらしいバカバカしくも格好良いキャラクターで、私は満足いたしました。冒頭のアクションシーンは相変わらず格好良いし、えらく爽やかな歌もあったし…一瞬轟天も出たしね!
 …しかし、あのモヒカンの中に絶対何か仕込んでいると思ったんだけどなあ。
 が、じゅんさん以外の新感線勢の扱いは、ちょっと勿体なかったように思います。皆それぞれ楽しく役を演じてはいるのですが、ちょっと出番とキャラが薄いというか…特に粟根さんは、パンフレットの写真が思わず吹き出すくらいエセビジュアル系だったので期待していたら、普通に格好良い役だったので残念でしたよ(いや、ファンに怒られるなしかし)。

 何はともあれ、休憩を含めて四時間という、尋常でない長さであっても全く飽きることがなかったこの舞台、非常に楽しませていただきました。終演後のアンコールでは、客席総立ちになっていましたしね。おそらくはゲキ×シネ化されると思いますからその時にはまた見に行こうと思います。

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コメント

すてきな感想、読んでまた舞台の様子を思い出して楽しませていただきました。

ゲキ&シネ化、されたらいいですね!そうしたらわたしもまた観にいこう、と思います。
4時間もあるのに、もっと各キャストの出番をみてみたい、もっとせりふや歌がききたかった、と思ったのはわたしだけではなかったのですね。
メタルマクベス、人気がすごくて、チケットが途中から(当日券)なかなかとれなくなってしまったのが残念です。友達ともう一回ぐらい観にいきたかったです。

投稿: 芙由子 | 2006.06.18 09:42

芙由子さん、コメントをどうもありがとうございます。
最近のパターンからして、ゲキ×シネ化の確率はかなり高いと思います。後ろの方の席で内野さんの表情があまり見えなかったので、アップで観てみたいものです。
今まで新感線の舞台は、上演期間の最初の頃か真ん中の頃に行っていたので、今度は終盤に行ってみようと思い、運良くチケットが取れたのですが…終盤に初めて見ると、もう一回行きたくても行けないから困りますね(笑)

投稿: 三田主水 | 2006.06.19 01:30

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