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2006.06.28

「影風魔ハヤセ」最終回 平和という名の大忍法

 森田信吾先生の戦国忍者コミック「影風魔ハヤセ」が、「イブニング」誌最新号で完結しました。最終回は、前回で秀吉と家康を同時に捕らえ(!)、××××と名を変えて秀吉の側に仕えることとなったハヤセたちその後を描いた、いわばエピローグというべき内容でありました。

 ハヤセが提案し、秀吉と家康が乗った策、それは戦国の世を平和に導くための、身も蓋もない言い方をすれば出来レース。戦国大名たちの力を削ぎつつ国の地力を固め、そして関ヶ原という戦場で、豊臣(を継ぐ者)と徳川という二大勢力を激突させ、戦国の世の最後を演出する――それが、戦いの世に倦んでいた三人が天下に仕掛けた秘策、いわば平和という名の大忍法と言ったところでしょうか。

 正直なところ、最終回の展開は(上記の秘策も含めて)前回を読んでから予想したとおりだったのですが、××××たるハヤセもやはり処刑されることなく生き延びて、影風魔の一族は歴史の陰に消えていくという(その彼らが安住の地とした先が、また伝奇ものにはしばしば登場するあの地なのにはニヤリ)実に綺麗にまとまったラストで、まずは大団円と言うべきでしょう。

 それにしても、最後の最後までいい役をもらったのが秀吉。元々尋常でないキャラ立ちであったのですが、野心と奸智の塊のような人物に見えながらも、その実、光秀を罠にはめて信長を本能寺に弑逆してまで平和の訪れを望み、その一方で信長に複雑な敬慕の念を持つ陰影に富んだキャラクターとして描かれていて、実に印象的な秀吉像でありました(折角最後まで生き延びた光秀の影が完全に薄れてしまうほどに…)。
 そしてまた、ある種悲劇的な事実として語られることの多かった秀吉の死後の祀られ方についても、本作の秀吉像からしてみれば、なるほどと思わされたことです。

 考えてみれば、本能寺の変を起こして物語の幕を開けた人物であり、またハヤセをして陽忍術使いと言わしめた秀吉。彼こそは、この忍者コミックのもう一人の主役にふさわしい人物であったかと今更ながらに気付かされた次第です。


 しかしハヤセ、あんまり女の子を待たせるもんじゃありませんよ。


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コメント

最後は駆け足でしたが、全体的に上手いこと纏めたなあと言う印象です。

この手の話でありがちなの真田が全く出てこなかったですね。出せばあと一巻分くらい稼げたでしょうに。
でも次が最終巻で全三巻、と言うのは長さ的にちょうど良い気がします。

敢えて突っ込むとすれば、あの娘いくつになったんでしょうねえ。

投稿: 冬至楼均 | 2006.06.28 19:55

本当にキレイにまとまったのでちょっと驚きました(笑)。忍者アクションの部分はもう少しあってもよかったかな? 真田は言われてみれば…ですね。

ちなみに物語の開始時点が1582年で、ラストが1600年。その間18年で…登場時に14歳でも32歳ですか。ううん、罪な奴め。

投稿: 三田主水 | 2006.06.29 00:16

よくよく考えると、真田が使えない理由は二つありますね。
一つは、二手に分かれた関ヶ原の時の対応が間抜けに見えること。
八百長が見抜けなかった訳ですから。
二つは、真田を出すと大坂陣まで書かないと収まらないと言うこと。
主人公の年齢も問題ですが、更に15年も待たせるとなったら…。

投稿: 冬至楼均 | 2006.07.02 19:43

そうそう、感想を書きながら、ハヤセからすれば大坂の陣は蛇足だったんだろうなあと思ったのです。
真田はもっと空気読め、とか思っていたのだろうなあ、と想像して、少し可笑しくなりました。

投稿: 三田主水 | 2006.07.03 00:56

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