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2006.06.30

「新編 日本の怪談」 アンソロジストとしての八雲

 小泉八雲ことラフカディオ・ハーンが、日本の民話・伝承・古典等から集めた怪談・奇談の数々を編者のオリジナル編集で収録した一冊。

 「雪女」「耳無し芳一」「むじな」「茶わんの中」といった非常にメジャーな物語から、登場する怪異が不気味ながらもユーモラスな「ちんちん小袴」、日本人の一種異常でしかし見事な美意識を描いた「十六桜」、歪められた愛情が壮絶なゴアシーンを呼ぶ「破られた約束」など、まずは八雲作品の精華集と呼んでよい内容でしょう。

 それにしてもこうして本書を見て今さらながらに驚かされるのは、八雲の怪談を見る目・選ぶ目の確かさであります。当然のことながら(?)八雲のものした怪談・奇談には原話・元ネタが存在するわけであり、江戸時代等古典怪談のファンであれば、ほとんどの作品を目にしているのではと思わないでもないですが、しかし、そうした好事家以外には忘れ去られた感のある物語を、外国人である八雲が「発見」し、遺したというのには感じ入るものがあります。
 その意味では、八雲の再話者としての側面は格別、一種のアンソロジストとしての側面にも、改めて気付かされたことです。

 正直なところ、各章のタイトルの付け方にはいささかどうかな…と感じさせられるものがないでもないですが、しかしそれで本書に収められた作品自体の質が下がるわけではもちろんありません。
 八雲が遺した日本の豊穣な文化の産物である怪談・奇談の数々を少しでも多くの人に味わって欲しいと強く願う次第です。


「新編 日本の怪談」(ラフカディオ・ハーン 池田雅之編 角川ソフィア文庫) Amazon bk1

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