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2006.06.09

「繍花大盗 陸小鳳伝奇」 姿なき怪盗を追え!

 さて陸小鳳シリーズ第二作は、牡丹の花を刺繍しながら現れ、目撃者の目を悉く潰すという神出鬼没の妖盗・繍花大盗の謎に陸小鳳が挑みます。

 屈強な護衛たちが守護する輸送隊を、水も漏らさぬ警護の王府の宝物庫を襲い、数多の犠牲者を出した上に莫大な宝物を奪う繍花大盗。酒と女と同じかそれ以上に冒険を愛する難儀な性格の我らがヒーロー陸小鳳が、こんなに面白そうな奴を見逃すわけがありません。旧知の友であり、凄腕の捕り手である金九齢がこの事件の担当となったのを幸いと、強引に捜査に首を突っ込むことになります(この、首を突っ込むまでの陸小鳳のやんちゃというかガキっぽい言動が非常に愉快)。

 繍花大盗が現場に残した刺繍が、女性の手になるものと知った陸小鳳は、犯人が男に化けた女と睨み、追跡を開始。これまた旧知の友である広州の裏社会の元締めを脅かす謎の赤い靴の女の存在を知った彼は、女ばかりの秘密結社の首領であるその女と死闘を繰り広げますが…

 古龍のミステリ趣味は本作でも健在、最初から繍花大盗が読者の前に姿を現すため、一見単純な事件かと思えばさにあらず。誰が味方で誰が敵かわからぬまま、どんでん返しに次ぐどんでん返しの果てに辿り着いた真実は…もちろんここでは述べませんが、鬼面人を驚かすような展開でありながら、トリックの小技も効いていて、満足満足。
 前作ではあまり派手に拳を振るうことのなかった陸小鳳ですが、本作のクライマックスでは憎むべき大悪人と一対一の大決闘を展開、アクションものとしても非常に楽しい作品となっています。

 ちなみに本シリーズ、それぞれが独立した連作長編のスタイルを取りつつも、各エピソードが密接につながり合うスタイルらしく、前作で残された謎や伏線が思わぬところで明らかにされたのは、嬉しい驚きでした。
 そして本作のラストにおいて、飛び込んでくる大ニュース。それは、彼の友である剣鬼・西門吹雪が、宿命のライバルである剣豪・葉孤城と遂に雌雄を決するというもの。もちろんこんな大事件を彼が放っておけるはずもなく――というところで、第三作「決戦前夜」に続く。
 あああ、待ち遠しい! 待ち遠しいったら!


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