「怨天賦」 中国方士vs日本妖魔
時は平安末期、平清盛の命を狙う怨霊・妖魔に、日本人の血を引く中国の方士・滋丘秋比斗と相棒の少年・迦利丸が立ち向かうというアクション伝奇。ファンタジーノベルやSNK格闘ゲームのノベライゼーションで知られる嬉野秋彦氏のオリジナル作品です。
何者かの妖術攻撃を受ける清盛を守護するため、平重盛に雇われた秋比斗たちの前に現れるのは、剛力を誇る謎の鎧武者・八郎、いずれも奇怪な術を操る妖女・柚羅と真那児、そして彼らを束ねる翼持つ男・相模と、いずれ劣らぬ妖人魔人。
ある人物(相模とくればその主人は…)の命を受け、平家への昔年の恨みを晴らすべく暗躍する彼ら妖人衆と対決するのが、本朝の術者ではなく、大陸の方術を操る方士というのが本書の独創と言えるでしょう。
とはいえ、中国の方士vs日本の妖魔という本書の特長が、十二分に活かされているかといえばそこは少々首を傾げざるを得ないのが正直なところ。この辺り、もう少し双方の術の違いなどを明確に見せられていれば、さらに面白く、また平安伝奇ものにおけるエポックメイキングな作品にも慣れたかもしれないと思うと、少々残念ではあります。
その意味では「よくできたライトノベル」という印象が強い本書ではありますが、もちろんつまらない作品などでは決してなく、特に平安伝奇もののファンの方には、一度触れてみていただきたいと思う次第です。
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