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2006.07.08

「闇鍵師」第2巻 既にクオリティは安定の域へ

 赤名修と中島かずきという、豪華コンビの伝奇時代コミックの第2巻が発売となりました。江戸に出没する魔物を錠前に封印する力を持った「枢り屋」錠之介の活躍を描く本作、この第2巻では、次々と猟奇殺人を引き起こす三匹の魔物を追う錠之介が奉行所から思わぬ疑いをかけられる「十手と錠前」、魔物に母を殺された姉弟の心を錠之介が救う「大晦の母影」、そして錠之介の盟友・鉄拾が記憶喪失の美女を救ったことから奇怪な忍びたちとの対決が始まる「秘錠の密偵」開幕編の三編が収録されています。

 既に基本的な物語のスタイルは第1巻で語られており、後は物語を膨らませていくだけという、連作短編スタイルの物語として安定した域に達しているだけに、安心して読むことが出来ました。
 もちろん、物語だけでなく、相変わらず赤名氏の絵のクオリティは高く、虚構の中のリアリティとでも言うべきものを存分に描きあげているのにはいつもながら感心させられます。「勇午」の印象で、現実世界を描くのに長けた人、という印象があったのですが、どうしてどうして、本作に登場する魔物たちの異形ぶりはなかなかのものであります。
 錠之介も、指抜き手袋をはめて、先に鍵を付けた鋼線を敵に向かって放つという「必殺」っぷりが実に見事で、アクションにもいい具合でけれんが効いていて満足(あと、奉行所に捕まったときには、「やっぱり赤名主人公は拷問されるのか!」と感心しました)。

 さて、この巻に収録されたうちでは、「大晦の母影」が出色。目の前で魔物に母を殺され、その場に駆けつけた錠之介を仇と呼ぶ姉と、鏡に浮かぶその母の姿をこの世に留めるため除夜の鐘を鳴らすのを止めようとする弟という、哀しい姉弟の姿を描いた作品ですが、二人のために、そしてその母のためにラストで錠之介がみせた優しい計らいが何とも気持ちよく、また、枢り屋が単に魔物を封じるだけの存在でないことをも示すものとして印象的でした。
 そしてまた、そのシーンを描いた赤名氏の絵がまた実に美しく――当たり前のことながら、優れた漫画は物語と絵が相まって生まれるものだと感じ入った次第。

 伝奇ものとしても人間ドラマとしても、読者の期待を裏切らない、奥行きのある物語として楽しめたことです。


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