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2006.07.15

「SAMURAI DEEPER KYO」 これが最後の限界突破

 「SAMURAI DEEPER KYO」の最終巻、第38巻が発売となりました。先日好評のうちに連載を終了しました本作、このブログ7でも毎週毎週採り上げて、その度に好き放題書かせていただきましたが、こうして単行本最終巻を手にすると、やはり感慨深いものがあります。

 これまでもファンサービスに力を注いできた作者らしく、この第38巻はカバー描き下ろし、付録のシールに、雑誌掲載時のカラー扉絵収録、書き足しページに、最終回の後日譚エピソードの描き下ろしと大盤振る舞い。作者の本作に対する愛着と、読者への誠意を感じます。

 ちなみに書き足しページは(私の記憶が正しければ)狂と先代紅の王の決着前後に集中、連載時はちょっとだけ詰め込み感があった辺りだけに、これは嬉しいサービスであります(作者としても不満だったのかな、と思う)。
 個人的には連載時に、先代紅の王の最期のくだりで、彼を最も愛していたはずの四方堂に関する描写がほとんどなかったのを残念に感じていたのですが、今回書き足された先代紅の王の最期のシーンは、そんな思いを吹き飛ばしてくれるような神演出で、胸のつかえがとれた思いであります。

 そしてまた、描き下ろしエピソード「「道」の途中」は、狂と二人平和に暮らすゆやの元をレギュラー陣が訪れるという、本作のエピローグとも言うべき内容。庵里の天狗ランドや海賊王ほたるといった小ネタを笑いつつも、最後の一コマになるまで一切台詞なし、それでいて全く違和感や不足感なしというのにちょっと感心いたしました。


 それにしても――本作との付き合いも、連載当初からですから約七年。
 以前も書いたかと思いますが、初めのうちはこの作品が嫌いで嫌いで本当に嫌いで――魅力のない俺様DQN主人公にありがちなキャラとストーリー、時代ものとしての必然性もないファッション時代劇という印象で――それでも、曲がりなりにも時代ものだから、と思いつつ読んでいました。
 それが、樹海編辺りからだんだん面白くなってきて、壬生編に入る頃には、当世珍しいほどの熱血少年漫画として(そして希代のネタ漫画として)先が楽しみな作品の一つとなり、そしてサイトやブログでほとんど毎週取り上げるほどになったのは、我ながら大した変わりようだわいと苦笑したくなりますが、しかし、それだけ面白い作品であった、いや、それだけ面白い作品になったのは間違いのないところ。

 もちろん、基本的にファッション時代劇ではあるのですが――ラストに物語を過去の歴史の一ページとして描くことにより、この物語自身を、本作のキーワードの一つである「道」そのものとして封じ込めてみせたのには大いに感心いたしましたが――しかし、本作が、現代に少年漫画というメディアで時代ものを描く際の、一つの成功した事例であることは間違いのないことかと思います。

 何はともあれ、ラストまで数限りない限界突破が描かれてきた本作。本当に限界突破を繰り返してきたのは、他の誰でもない、作者たる上条明峰氏自身であったのだろうなと感じ入った次第です。正直なところ、今後時代ものを描かれることはないだろうと想像しますが、しかし、新作が楽しみであることは間違いないところかと思います。

 上条氏には心からの賛辞と、「お疲れ様!」という言葉を贈りたいと思います。

 …と、これだけでは単なる一ファンで終わってしまうので、最終回で紅虎が朝鮮通信使を迎える準備をしているのを見て、「つまり次の敵は朝鮮壬生!?」とか思ってしまいました、と恥の上塗りを白状してこの稿おしまい。


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コメント

お久しぶりです。
やはり最終巻ともあって上条先生らしく、豪華仕様となってましたね。

上条先生の、次回作にも期待がかかるところであります^^

投稿: ゆい | 2006.07.17 10:31

ワタシもこの作品は読んでていかがなものかと思うところも多々ありましたが、応援してくれている読者最優先の姿勢は特異でもあり、誰でもが真似できない部分かと思いました。
多分「時代物みたいな制約の多くない現代や近未来を舞台にした作品のほうが作者の才能が光るかな?」とも思いつつこの作品の経験をベースに次こそはDEEPESTな( ̄□ ̄;)時代物描いてもらいたいという感想も持っています。

て、朝鮮壬生だったら笑い死にます。

投稿: 伯爵 | 2006.07.17 11:20

ゆい様:
今までもどうもありがとうございました。おかげでここまで辿り着くことができましたが、まだまだ年表やDBなどやりたいことがあります。
上条先生は、良い意味でファン気質を残しているのかな、という感じのサービス精神ですね。

伯爵様:
突っ込みどころは多いのですが、(マガジンなのに)全盛期のジャンプ的少年漫画として珍重すべき作品だったかと思います。
画力的にはかなりのものがあるので、確かにもっと突っ込んだ時代ものは見たいかも。
あと、真壬生の生き残りはきっと世界に散らばっているので、朝鮮にもきっと…

投稿: 三田主水 | 2006.07.17 22:25

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